罪重ねるは存在理由
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それがどんなに危険を孕んでいようと、その笑顔を前にしては抗えない。
罪悪感からなる後ろめたさも確かに存在するが、長きに渡り一緒に過ごしてきた事で積み重ねられてきた情が尚更鈍らせる。
同情だけなら今一歩自分を押し付けられるのに、そこには確かな愛情というものが存在していた。
「急がなければ……」
ナタクとのひと時を終えた白羅は、足早に自室へと向かっていた。
擦れ違う人も目に入らず、部屋に着くなりしっかりと施錠をしては、またあの画面と向かい合う。
そしてそこに響くは恐ろしい速度で刻まれるキーを弾く音。それは彼女の焦りを顕著に表していた。
──ナタクと同じ年格好をしている者などこの城には居ない。
ましてや、長くこの城に居るにも関わらず、昨日初めて会ったと言えば、思い当たるのはあの恵岸行者が連れ帰ったという『幼児』だけだった。
ナタクが人を受け入れようとしているのであれば、それは大いに喜ばしいことであるし、それを彼自身が望むのなら尚更の事。
しかし、あの李塔天が黙っているはずが無い。
──人でも妖怪でもない存在。
李塔天にとって、それは己の立場を揺るがす者か否か。更には、自分の足場をより強固なものにしようとまで考えても可笑しくは無い。
何れにせよ、ナタクにとっては良い話では無いが、自分の野心の為に息子を造り上げた李塔天だ。もし後者であった場合……。
白羅は逡巡しながら身震いをすると、目の前の画面をきつく睨んだ。無機質な画面のその向こうで嗤う李塔天に向かい、白羅は独り願い誓うのだった。
どうか杞憂に終わって欲しい。けれど、もしもの時は私がお守りしなくては、と。
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