罪重ねるは存在理由

(5/6)
そんな明くる日の事。
無事に下界から戻ったナタクは、白羅と共に件のお茶を片手に穏やかな時間を過ごしていた。


闘神太子となった今、下界から帰って来たナタクの無事を喜ぶのは白羅だけで、そんな白羅はやはりナタクにとっても特別な存在と言えるだろう。


例え自分が闘神ナタク太子であろうが、ただのナタクであろうが、白羅はいつも変わらずこうして時間を共有してくれる。

ナタクはそれがなによりも嬉しかった。


「白羅の茶は相変わらずだな」

「ここはお礼を言うべきですか?」


態と眉を上げて見せる白羅に小さく笑みを零したナタクは、そこで思い出したとばかりに声を弾ませる。


「なぁ、白羅。今度このお茶を飲ませたいヤツが居るんだ」

「……と、申しますと?」


僅かな動揺が白羅に走る。今の今まで、一度としてその様な事を言った事のないナタクが、なんとも無垢な顔をしてそう言うものだから、白羅の掌には汗が握られていた。



「あー、昨日初めて会った俺と同い年くらいのヤツなんだ。面白そうなヤツだったし、今度連れて来てもいいだろ?」


「……そうですねぇ……」


冷静に、と言い聞かせながら白羅はお茶を一口啜る。そして、あくまでも自然の流れであるかの様に目を伏せて間を置いた。


「……なぁ、いいだろ?」

白羅を窺うナタクに逡巡するも、彼女の中での優先順位はいつも決まっている。如何なる葛藤も、ナタクの前では結局一方に傾いてしまうのだった。


「美味しいお菓子をご用意しておきますね」

「さっすが白羅!」


満面の笑みのナタクを前に、白羅の視線は手元の湯呑みに注がれていた。


.
- 16 -

ListTopMain
>>Index