Luxury

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一斉にジープから飛び降り、わたしは八戒に尋ねた。


「ノルマってどん位?」


すると八戒はにっこりしながら振り返った。


「なまえは特別に10人でいいですよ」


足手まといのわたしに、身を守るだけでいいと言わない八戒は、いつもわたしに役割をくれる。

それは嬉しい反面、今のわたしには10人はギリ。……嘘。かなり無理。


「なまえちゃーん、助けが欲しかったらいつでも言ってね?」


……絶対言わない。


無理な姿勢で撃つと銃の反動に耐えられない為、わたしは距離をとり、しっかり構えてから銃を撃つ。走って撃っての繰り返し。


――ガウンッ!


…ま、命中率も低いけど。



そんな事をしているわたしを、既にノルマを果たした四人が笑いをこらえて見ている。


「なまえって足早いじゃん」

「…さすがチビ猿だな」

「でもなまえもちゃんと自分の弱点を考えて戦ってますね」

「当たって無ぇけどな」


四人の座談会なんかに気を取られちゃ駄目だ。


――ガウンッ!


あと二人。流石に走りっぱなしは疲れてきたじゃないですか。


その時一瞬気を抜いた。ほんの一瞬だったが、すぐ目の前に妖怪が立ちはだかり、容赦なくわたしの脚を斬りつける。


「痛……っ」

「三蔵一行に女が加わったのは本当だったんだな」

「うまそうじゃん」


あぁ、あのギラついた目だ。欲望を吐き出す為に、ゴミに向ける目。


こいつ等と悟空達が一緒だって?
冗談じゃ無いや。


悟空達はわたしをそんな目で見ない。人とも思わない目で見ないで、ちゃんとわたしを見てくれる。




ゴミは幾ら繕ったって所詮はゴミなんだよ。


リフレインする。


絶対服従関係を最大限に弄ぼうとする時の目。


やめて……。消えて……っ!


「そんな目でわたしを見るな!!」



わたしが叫んで銃口を向けた時、妖怪達は既にただの肉塊になっていて、三蔵達が妖怪を片付けてくれた後だった。


「……ありがとう」

「安心しろチビ猿。ノルマは次回に繰り越してやる」


意地悪そうにそう言って踵を返す三蔵の口から、"次回"という言葉が聞けた事が嬉しかった。


三蔵の背中を見つめながらそんな事を考えていると、突然視界が揺れ浮遊感に包まれた。


「うわ、何すんの!」

「鈍臭ぇなまえちゃんにはお姫様抱っこの刑」


よく言うよ。
わたしが足を引き摺っていたからでしょ?悟浄はぶっきらぼうだけど優しいもんね。


「よし悟浄、ジープまでダッシュだ!」


よっしゃ!と走り出す悟浄と、悟浄の肩越しから見える三人に心から感謝する。


『ありがとう』


伝えられる相手が居るのって、やっぱり贅沢な事なんだよ。

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