単純過ぎて理解し難い
(6/6)
こいつは何でこんなに笑っているんだ?
確かに何年も楽しい事なんて無かったんだろうが、俺からしてみれば今だって笑っていられる状況には見えねぇ。
いきなり野郎共の中にぶち込まれ妖怪退治の旅だぞ。
「何でそんなに笑っていられるんだ?」
俺の口から無意識の内に言葉が漏れた。それをしっかり聞いていたなまえは俺に言った。
「生きてるからだよ」
「……フン。単純過ぎて理解し難い」
二人で同時に吐き出した紫煙が絡み合い、陽の昇った空に霞んでいく。それ以上言葉を交わさなくても、不思議と居心地は悪く無い。
「死んだら俺が笑ってやるよ」
俺はそう言って立ち上がり宿に足を向けた。
「あっ、待ってよ三蔵」
なまえは慌てて追い掛けてくるが、俺は歩く速度を落とさない。
待たねぇよ。
これ以上あいつの笑顔を見てたら俺まで笑いたくなるじゃねぇか。
.
39/180←|→
List|Top|Main