単純過ぎて理解し難い

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「おい、チビ猿」


俺がそう呼ぶとなまえは振り返り、俺に視線を向け目を細めながら言う。


「三蔵、見てた?今までより全然良くなったと思わない?」


んな事より自分の手を気にしろよ。



「せいぜい死なねぇこったな」



生憎俺は人を誉めてやるような優しい心は持って無ぇ。だが、こいつが余りにも一生懸命だったから、あいつの医療ケースを手渡してやった。


なまえは不思議そうに俺を見上げたと思えば、次の瞬間には苦笑しながら『ありがとう』なんて言いやがる。



そして俺の隣に座り汗を拭うが、その掌には女の手には似合わないほど血が滲んでいた。



初めの頃、自分の体を傷付けた奴にブチ切れていたってのに、ボロボロの手は気にしねぇなんて、まったくお目出たい奴だ。

しかし、その手を見れば解る。蜘蛛女とのことがあってからだけではなく、今までお前がどれだけ必死だったか。



「フン。あれ位気にする様なタマか?」

「……何の事?」


なまえは掌の汚れを取りながら一瞬体が反応する。


素直じゃ無ぇ女だ。まぁ泣いて縋る様な奴ならとうに蹴落としているがな。


「三蔵……」


不意になまえに呼ばれ、俺はなまえに視線を投げた。



「何だ?」

「……付き合ってくれてありがとう」

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