キスでもしてやろうか

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『じゃあキスでもしてやろうか?』


すっごい挑戦的な紫の瞳で言ってのけた三蔵に、自分を見透かされてる様だ。


抱き締められたまま耳元で聞こえる低音に身体が反応する。


「求めるフリなんて出来ないよ」


今まで散々してきた筈なのに、それが三蔵の前では出来ないのは何でなんだよ。


「俺が望んでんのはフリじゃねぇ」

「解ってるよ……」


それは解ってるけど、相手に要求されるままに造り上げた自分を要求されるんじゃなく、わたし自身を求めてられても、どうしていいか解らないんだよ。



三蔵に抱き締められたまま俯いたわたし。三蔵はそんなわたしを更に引き寄せて言った。



「生憎俺は気が短い。だからさっさと気付け」


三蔵はそう言うとわたしを解放し、一瞬だけ表情を緩めて自分のベッドへ潜り込んだ。




その時の三蔵の顔に胸が痛んだのは何故だろう。



この三蔵との距離がもどかしく思うのは何でなの?




三蔵の馬鹿。



余計寝れなくなったじゃないか……。

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