眠れぬ夜の物語
(7/7)
『ありがとう。君のお陰で助かったよ』
──本当?よかったぁ。
その二日後にわたしは独りになったんだ。
「あは……っ、解ってたのにな……」
自分で差し出しといて返してくれなんて、そんな都合のいい話あるわけないよ……。
「……なまえ?」
寝たと思っていた八戒に不意に呼ばれ体を起こすと、目の前には八戒の顔があって、不覚にもわたしは安心してしまった。
「ごめ……っ。起こしちゃっ……た?」
自然と滴り落ちる涙に気付く前に、突然八戒の温かな腕に抱えられ、わたしは堪えきれなくなってくる。
弱音なんて吐ける立場じゃないし、責められても文句なんて言えた義理じゃない。それにそんな事を許してくれる人なんて居なかった。
「なまえ、大丈夫ですか?」
「八っ戒……、わたし……っ」
八戒に聞いて欲しかったのに、わたしの口からは上手く言葉が出てこなくて、ただ子供みたいに八戒にしがみついてるだけ。
でも、そんなわたしを八戒は何も言わずに優しく抱き締めてくれて、わたしの心はそれだけで軽くなっていった。
本当、八戒は温かい……。
こんな腕の中でなら、眠るのも恐くないのかな……。
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