私に出来る事って何?
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目の前では辛うじて呼吸している三蔵と、致命傷とまではいかなくてもかなりのダメージを受けたであろう八戒と悟浄。
あの金鈷とやらを何とかすればいいって?わたしにそんな事が簡単に出来るとは少しも思ってない。ならばやることはひとつ。
「八戒、悟浄、隙あらばよろしく!」
わたしはケースの中から眠剤やら何やらをひっつかみ立ち上がる。
「ちょっ、なまえっ!」
「悟空は胃袋丈夫だよね」
わたしの事だ。多分、一撃でも喰らったら致命傷。でも、これ以上こんな事やってたら三蔵だって悟空だって……。
「ダメだなまえちゃんっ!」
悟空に向かって走り出したら、三蔵の凄さが身にしみた。三蔵が戦線離脱しただけでこんなにも心細いなんて。
悟空、三蔵を助けたいんでしょ?だったらわたしにも手伝わせてよ。
「悟空、お腹すいてない?」
そう言った瞬間、悟空と視線が重なった。悟空は単純だ。だから真っ直ぐに突っ込んでくる。
元々銃を向ける気なんて無かったけど、銃を抜く暇なんてありゃしない。
だけどわたしは半歩だけ体を反らせばいい。そしてその口の中に、この眠剤を詰め込めばいい。即効性は期待できないが注射よりこっちの方が少ない動作で済む。
しかし反射的に目を瞑ってしまう信号よりも速いスピードで迫ってくる悟空は想像を遥かに超えていて、悟空の口に全て詰め込み終わる前に、わたしは笑っちゃうくらい軽々と宙に舞った。
砂に叩き付けられる直前、見えた悟空は嗤ってた。
だけど全然恐くはなかったよ。
ただじゃれついてるだけなんでしょ?
ねぇ、悟空……。
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