私に出来る事って何?

(6/6)
目の前では辛うじて呼吸している三蔵と、致命傷とまではいかなくてもかなりのダメージを受けたであろう八戒と悟浄。


あの金鈷とやらを何とかすればいいって?わたしにそんな事が簡単に出来るとは少しも思ってない。ならばやることはひとつ。



「八戒、悟浄、隙あらばよろしく!」


わたしはケースの中から眠剤やら何やらをひっつかみ立ち上がる。


「ちょっ、なまえっ!」

「悟空は胃袋丈夫だよね」


わたしの事だ。多分、一撃でも喰らったら致命傷。でも、これ以上こんな事やってたら三蔵だって悟空だって……。



「ダメだなまえちゃんっ!」



悟空に向かって走り出したら、三蔵の凄さが身にしみた。三蔵が戦線離脱しただけでこんなにも心細いなんて。


悟空、三蔵を助けたいんでしょ?だったらわたしにも手伝わせてよ。



「悟空、お腹すいてない?」


そう言った瞬間、悟空と視線が重なった。悟空は単純だ。だから真っ直ぐに突っ込んでくる。


元々銃を向ける気なんて無かったけど、銃を抜く暇なんてありゃしない。
だけどわたしは半歩だけ体を反らせばいい。そしてその口の中に、この眠剤を詰め込めばいい。即効性は期待できないが注射よりこっちの方が少ない動作で済む。


しかし反射的に目を瞑ってしまう信号よりも速いスピードで迫ってくる悟空は想像を遥かに超えていて、悟空の口に全て詰め込み終わる前に、わたしは笑っちゃうくらい軽々と宙に舞った。



砂に叩き付けられる直前、見えた悟空は嗤ってた。

だけど全然恐くはなかったよ。

ただじゃれついてるだけなんでしょ?




ねぇ、悟空……。

.
116/180

ListTopMain
>>Index