Midnight
(2/7)
あの一件以来、表立った妖怪達の襲撃も無く、傷もだいぶ癒えた頃、いつもの様に西を目指す一行は、とある町に立ち寄った。
「では最初に宿を探しましょう」
八戒の一言により、町の入り口から賑やかな大通りを抜け、緑に囲まれた小さな宿を今夜の寝床と決めた。
「二人部屋が二つ。一人部屋が一つ。部屋割りは……」
と八戒が口にした時、なまえが近付き八戒に尋ねる。
「八戒、出来れば今日さ、一人部屋にして欲しいんだけど……」
そんななまえの言葉に怪訝な顔をしたのは、いつも同じ部屋で寝ていた三蔵だった。
八戒はいち早く三蔵の眉間の皺をとらえなまえに小声で尋ね返す。
「……三蔵と何かありましたか?」
「ううん。そうじゃないよ。ただ……寝てみようかなと思って……」
「……なまえ、一人で大丈夫ですか?」
八戒は以前なまえと同室になった時、眠ろうとしたなまえが突然泣き出した事を思い出し、不安を隠せず念を押す。
「……うん。大丈夫」
「そうですか。……では皆さん、こういう訳ですからいいですね?」
「ま、なまえちゃんたってのお願いなら勘弁しちゃる」
「おう!なまえ、頑張れよっ!」
「フン。勝手にしろ……」
悟浄と悟空が快く承諾した中、三蔵の眉間の皺だけは深かった。
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