to be or not to be

(7/7)
……迷ったぁぁぁ。
ヤバいよ。何とかトイレは見つけたけどさ、部屋何処?



同じ様な部屋ばっかりだし線香は臭いし、嫌な感じが纏わりついて離れない。


思い出すは……。


――三つ並んだ遺影。
ほくそ笑んでる大人達。

その中で、黒髪の眼鏡をかけたおじさんだけが優しかった。



『あんなことしてたから罰が当たったんだ』

『まぁ息子は可哀想だったけどな』



リフレインする。



『高く売る為には頭も必要なんだよ。安心しな。お前にかかった費用の清算は後でちゃんといただくよ』



四十九日も過ぎぬ内に、わたしは男に跨った。


『有り難いだろ?生きる術を教えてやってんだ。黙ってよがればいい』




「ゴホッ……う……っ」


込み上げてくるものに耐えるも、涙と嗚咽は止まらない。きっとこの臭いに酔ったんだ。

ふらふらと辺りを彷徨っていると、ふと何処かが騒がしい事に気付く。




何かあったのかな。早く行った方がいいかな。あ、足手まといだから行かない方がいいかもしれない。でも、早くみんなの所へ行きたい。このままじゃ、孤独に飲まれ、死に捕まってしまいそう。


走ろう……。皆の所へ、走れ……っ。


震える足でもまだ行ける?涙を拭えばまだ行ける?



音のした方へ走り出したら、その先には皆が居た。周りの状況から、もう既に全てが事後で、一仕事終えたとばかりに彼らの背に雲間から光がさしている。



「俺達は生きてるんだなコレが」



何それ……。


その雲間から差し込む光が後光に見え、わたしの前で生と死が交差した。



四人が眩しい。



わたしはまだ、生けてないのか。




わたしは皆を直視する事が出来なかった。

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