麻雀牌が語るもの

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あの夜から、また眠れぬ夜が始まった。

三蔵はいつもと変わらない。

それが自然であっても不自然に感じるから、いろんな思いが胸の中で漂って、必死で出口を探している。



それでも西への旅路は遠く果てしなく。



ジープに揺られ何処までも……。



「旅は道連れって言うじゃんかっ!」



ふらりと立ち寄った賑やかな街。両側に並んだ店に心を奪われ、美味しそうな匂いにつられてふらふらと歩けば、人混みに紛れて三蔵達を見失った。


「おーいっ!皆どこーっ!」


人混みの中でぴょんぴょんと飛び跳ねてみても見当たらないし……。


ヤバすぎる。三蔵のハリセンを想像するだけで背筋が凍る。



「お嬢さん、何か迷っておいでですね」



不意に声が聞こえた。
これほどの人混みの中、何故かは解らないが、それははっきりとわたしに向けられた言葉だった。


辺りを見渡せば、路地裏への入り口の隅。易者と見られる男がねっとりとした視線を送ってくる。


「どうぞこちらへ。この清一色が占って差し上げますよ。────なまえさん」



クツクツと嗤う男が心底恐ろしく、わたしの身体は硬直した。


何で……名前を知ってんの?



清一色はゆっくりと近付いてくるが、声すら出せない程の恐怖感。



あぁ、これが殺気ってやつか……。

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