同じ旅路
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霧の中に現れた人影は、あの目をしてわたしを見る。同情や哀れみを通り越し、蔑み卑下した目でわたしを見る。
慣れてたはずなのに可笑しいな。何でこんなに怖いんだろう。
階段を踏み外さないように後退すると奴らは嗤いながら近付いてくる。
来るな……来るな……!
振り払おうと伸ばした手は空を切るが、それでも払いのけようと銃を向けた。
――ガウン!
弾は真っ直ぐに撃ち放たれ過去の幻影を突き抜けると、辺り一面にはパラパラと珠が転がり、それを見て安堵したのも束の間。冷たい視線に見下ろされているのに気付いたわたしの手足は、無意識の内に震え出す。
だけど先へ進まなければと自分を鼓舞し、ゴクリと喉を鳴らして一段上ると、人影ははっきりと実体を現した。
「久しぶりだね。なまえちゃん」
銃を構え、一歩踏み出す度に冷や汗が流れ、銃を落とさない様に握っているのが精一杯だった。
「……健一おじ……さん」
「驚いたよ。まさかこんな所で会えるなんてね」
「何で……"ここ"に……」
言いたい事は沢山ある。だけどおじさんはそんな隙を与えてはくれなかった。昔は感じた事が無かったのに、今はおじさんが心底怖い。
「そんな事はどうでもいいよ。それよりさ、なまえちゃんにずっと謝りたかったんだよね、ボク」
口元だけを歪めてゆっくりと近付き、わたしが微動だに出来ないのを知ってか耳元に口を押し当て、その口元には一段と不適な笑みを浮かべて囁いた。
「ごめんね?」
――お父さんとお母さんを殺しちゃって。
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