同じ旅路
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血の気が一気に引いていくのが解った。
"なんとなく"と"やっぱり"が交差して、次第に引いていった血液が身体中を駆け巡り始める。
「何の為に……」
深く息を吸い込み、まだ駄目だと言い聞かせて口を開くと、おじさんはククッと嗤った後に話し始めた。
「ボクと生命工学の発展のためってトコかな」
淡々と、まるで他人事の様に吐き捨てられるわたしが元居た世界での出来事と桃源郷での出来事。
――繋がった。
それはそれは最悪な繋がり。
「なまえちゃんのお陰で助かったよ」
わざとらしい謝辞の数々に昔のわたしは気付かなかった。
「非道い……」
「非道い?失礼しちゃうなぁ。なまえちゃんの方がよっぽど非道いよ?」
その物言いが気に障り、おじさんだけには言われたく無いと睨み付けると、おじさんはゆっくり手を差し出した。
「ボクの名前、健一じゃないよ?」
――トン。
伸びてきた手に肩を弾かれ後ろへ反れた。踏ん張ろうにも足に力が入らない。
また、わたしを突き落とすんだね、おじさん……。
――ジェンイーだよ。
落ちていくわたしを避ける霧。石階段のはずなのに、不思議と叩き付けられても体は痛くは無かった。
ただみんなに何て言えばいいのかと、胸の奥が痛かった。
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