月夜に想う

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月明かりに照らされた金糸と真っ直ぐ見据える紫色の瞳の三蔵は、いつも多くは語らない。


だからこそ、三蔵の一言にはいつも重みが感じられる。


暗闇をゆっくりと照らす月明かりと同じ様に、いつも三蔵はわたしを導いてくれる。


帰るべき道へ。
行くべき道へ。


静かに、そっと照らしてくれる道標。



そんな事を思いながら見ていた月から三蔵に視線を移すと、三蔵もわたしを見つめていた。


「三蔵、わたし……」


そう言いかけると、三蔵はふと息を吐きながら呟いた。


「馬鹿馬鹿しい。やっぱり俺は月なんぞ御免だな」


静かに流れる雲が月明かりを遮り、辺りが静けさに包まれると、三蔵は更に真っ直ぐな眼差しでわたしを射抜いた。


「……ただのものの例えじゃない」

「あぁ、それでも御免だ」


三蔵はそう言ってわたしの頬にそっと触れ、静かに唇を寄せた。
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