No One Knows It

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「どうしたらそんなに貧弱になれるんだ?」


部屋へ戻るなりジェネシスは意地悪く言うが、この恰好じゃ仕方ない。


シャツはお尻までも覆い、ジーンズは今にもずり落ちそうで、それをベルトが必死に押さえている。片側の口角だけを上げるジェネシスを睨むと、それを遮る様に統括が話し始めた。


「それで君の事だが、先程宝条博士も交えて話し合った結果だ」


そう言って統括は資料を差し出し、私はそれに目を通していく。



そこに書かれていたのは、

混乱を避ける為、神羅で保護し、その間は神羅に貢献する事。
危険因子が払拭されるまではソルジャーによる監視をつける事。
現在、帰還方法は調査中だという事。


「監視と言ってもこのソルジャー棟内なら監視役も居なくていい。移動は常に誰かと共にしてもらうがね」

「……よく解んないけど、帰れる様になるまでここに置いてくれるって事ですか?」


ラザード統括は表情を緩め、明日にでもちゃんとした服を用意すると言ってくれた。


「じゃあ後は頼んだ。私はこれで失礼するよ」


統括が帰った後、私は難しい事を考えるのを止めた。



今はここでお世話になりながら、帰る方法が見つかるのを待つしかない。そう思ったからだ。




その後、統括に続き伝説の三人も部屋を出て行った後、私は部屋に散らばる破片を片付けた。


蛍光灯も無い部屋に運ばれてきた夕食は、申し訳ないが手を付ける気力が湧かなかった。とりあえず、と暗い部屋でベッドに潜り込んでみるが、あまりにも広すぎるベッドに軽くホームシックになる。


「うー……。この歳になって情けない」


異世界で独りという孤独感からか自然と涙が頬を伝った刹那、ミシッと音をたてて部屋が揺れる。


ヤバい、ヤバい。
落ち着け落ち着け。


私は頼りない灯りを求めベランダに出るが、そこから覗く見知らぬ景色がまた涙を誘う。


その時、突然私の視界を朱いコートが塞ぎ、すぐ耳元でジェネシスの声が響いた。


「大丈夫だ」


その声に感化される様に私は落ち着きを取り戻していく。私を抱きかかえて部屋の中へ運ぶジェネシス。その温かさは私の涙腺を更に刺激した。


「威勢がいいかと思えばそうでもないんだな」


そう言って涙を拭うジェネシスは先程までの印象と大分違う。

間近で見るジェネシスはとても綺麗で、その青い目が彼の美しさをより引き立てているように見えた。


おっといけない。
迂闊にも見とれてしまった。このフェロモンは犯罪だよ。


「ありがとう。もう大丈夫」

「俺の部屋は隣だから、独りで眠れないのならいつでも来るといい」


妖しく笑うジェネシスはそう言ってベランダを飛び越えて行った。



……ジェネシスと一緒の方が絶対に寝れないと思うの。それでもジェネシスのお陰で落ち着けたのだと私の口元は綻んだ。



CONTINUE...
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