No One Knows It
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この世界に来てから災難続きだ。否、この世界に来た事自体が災難だ。髪は斬られるし、自業自得かもしれないけど冷水は浴びせられるし…。
まぁ冷水のお陰で落ち着いたけど、そのせいで私はバスタオル一枚だよ。
「いつまでそこに居る?話がある。さっさと出て来い」
うっさいわ!
流石にバスタオル一枚で男三人の前に出ていくのは抵抗あるわいっ!
心の中で悪態つくも、私は堂々とセフィロスの挑発に乗りバスルームを出た。
「……本当にそれで出て来るとはな」
「ええ、あなたのお陰で下着までご臨終しましたのでね!」
ジェネシスは妖艶な笑みを浮かべ再び愛読書に視線を落とすが、アンジールは私に温かいコーヒーを差し出してくれた。
「ありがとう」
コーヒーを啜りながら私は思った。ここの男はアンジール以外話にならない。まともに会話しようとすると、とてもとても疲れる。
部屋に飛び散った蛍光灯の破片が視界に入れば、心の中でいろんな感情が溢れてきそうになったが、頬と腕の傷が疼きがそれを抑えてくれているようだ。
手渡されたコーヒーを飲んでいるとアンジールの携帯が鳴り、その電話でどうやら統括に呼ばれたらしく、申し訳無さそうに部屋を出て行った。
しかし!この二人と残されても困るんですよっ!
暫くの沈黙、しかしそれを破ったのは以外にもセフィロス。私の短髪とは正反対の長い銀髪を揺らし、その端正な口元が微かに動く。
「お前、明日からトレーニングルームで訓練しろ」
「……トレーニング?」
思いっきり怪訝な顔をする私にセフィロスは続ける。
「お前は今はごく僅かだが能力はある。それは感情の起伏により増幅されるが、マテリアの扱い方を知らないが故に上手く発動されない」
「……意味解んない」
私は率直な感想を述べたまでだが、セフィロスの目が険しくなった。それに気付いたジェネシスは溜め息を吐きながら補足する。
「この部屋を見て解らないか?またこんな風にならない様に君はマテリアの使い方を知る必要があるって事だ」
「……それって私が元の世界に帰れない事を前提にして言ってるの?」
「現段階でその話をするのは無意味だな」
ピシャリと言い切るセフィロスにまたしても不安が押し寄せるが、私はまた冷水を浴びせられるかもしれないと必死に平静を保とうとする。
するとドアをノックする音が聞こえ、天の助けとも言えるアンジールと統括が姿を現した。アンジールはこの部屋の有り様と私の恰好の事を既に統括に説明済みの様で、統括は女子社員に用意させたと真新しい着替えが入った袋を持ってきてくれた。
私はすぐにバスルームにて袋を確認。ご丁寧に下着も入っている。急いでそれらを身に付けてみるが、下着は何とかなったが服は全てにおいて大きかった。
ここの世界じゃこれが普通なの?と思いつつも贅沢は言っていられない。
私はそれらを纏い、これから重苦しい統括の話がある事を考え、深呼吸をしてからバスルームを後にした。
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