Blast
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真っ暗な視界の中に、幻覚のようにチラつく緑色と、気泡の弾ける音に混じって聞こえる声。
──中毒症状は?
──はい、信じられない事に全くありません。
無意識の内に聴覚が研ぎ澄まされ、わたしはただ聞こえる声に耳を澄ました。
『では濃度を75%まで上げてくれ』
『博士!それは余りにも危険です!これほど短時間に…』
『いいからやるんだ!』
心無しか大きく声が木霊した次の瞬間、わたしの身体に変化がおきた。
キンキンという耳鳴りと急速に冷えていく身体。閉じているはずの目は、眼球を掴まれているかの様に圧迫され、より濃さを増した緑色の光はストロボの様に刺激する。
全身を掻き毟りたくなる衝動に駆られても、四肢は言う事を聞かない。
声はとうに搾り取られたのか、脳からの伝達も遮られている。
『そろそろ仕上げをしよう。15分毎に濃度を1%ずつ、最大80%まで上げるんだ』
耳鳴りは酷く耳障りで、蟀谷を押し付けられている様な鈍い痛みが強まった。人体実験という恐怖感が纏わり付き身体の自由も奪われ、それはジワジワとわたしの思考を削ぎ落としていく。
『恐い、恐い、恐い……っ』
声にならない声を心の中で張り上げ願った。
爆発しろっ!
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