あの夜の続き

(1/6)
小雪が舞う冬。
寒さで少しだけ鼻先を赤くしたなまえは勢いよく上忍待機所の扉を開き、一目散にカカシの元へ駆け寄ると、もう何度も続けられているであろう毎日の騒がしい儀式を始めた。


「カカシー、今日こそはちゃんと返事を聞かせてよねっ!!」

「……何の話?」

「もう!何回同じ事言わせるのさっ!カカシの気持ちに決まってるでしょ!」


待機所内でも見慣れた光景となってしまった今、これを見ないと一日が始まらないと口にする上忍も居るほどだ。


「あー、あれネ。うん、じゃー今日の任務から無事に帰って来れたらネ」


しれっと片手をひらひらさせ愛読書に視線を落とすカカシと、またかと思いっ切り不機嫌を露わにするなまえ。


しかしそれも束の間。なまえはすぐに満面の笑みを浮かべる。


「よしっ!じゃー行ってきますっ!」

「はいはい、行ってらっしゃい」



カカシの視線は愛読書に注がれたまま、綻ばせた口元はなまえに気付かれぬ様に口布の下にそっと仕舞う。


そんなカカシを知ってか、アスマは紫煙を撒き散らしながらカカシに近付くと徐に口を開いた。


「カカシ、いいのか?あいつの今日の任務ヤバいらしいぞ」

「だからこうして心残りを作ってやってんだヨ」

パタンと本を閉じ、カカシが窓辺に視線を向けると、丁度なまえが出て来た所だった。


小雪に混じる小さな背中。


アスマの話を聞いたからか、それがとても物悲しく見えてしまったカカシは窓を開けて叫んだ。


「なまえ〜、死ぬなヨ〜」


するとなまえは振り返り、両手を口元に添えて叫び返した。


『死んだら呪ってやるからね!』




そんななまえを見送った後、カカシは深々と降る雪を疎ましく思いながらも、暫し待機所で読書に勤しんだ。


そんな中、気付けばもう昼で、そろそろ昼食の時間だと腰を上げた時、荒々しい足音が近付いてくるのが聞こえ目を向けると、尋常ではない空気を携えた紅が息を切らしてカカシを見る。


「紅?そんなに慌ててどうしたの?」

「なまえが……なまえがっ……!」


ほんの数時間前、笑って出て行ったなまえが夢みたいだった……。
.
- 1 -

ListTopMain

>>Index