優しさを添えて

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半年前、なまえが長期の任務で一年間里を離れる事を知った。


なまえは三代目からの信頼も厚く、誰に対しても厳しく優しく、忍の在り方というものを教えてくれた人だったから、なまえの送別会も盛大に行われた。


いつも威勢のいいアンコでさえ涙声で、なまえはしみったれたアンコを優しく気遣い、頭をポンポンと叩いていた。


昔から俺にしてきた様に。


「皆ありがとう。留守番宜しくね」


そう言って颯爽と去って行くなまえを、俺は追いかけずにはいられなかった。


「なまえ、待って!」


俺の声に気付いたなまえが立ち止まり振り返る。月に背を向け、眩しさが増す。


「カカシ、どうしたの?もしかして、寂しくなっちゃった?」


俺を覗き込みながら悪戯に言うなまえ。その大きな瞳で、幼かったあの時の俺を見ているかの様に。


「俺、もう子供じゃないヨ」


男として見てくれないという現実、それを苦笑で隠す俺。


『あはは、そうだよね』と軽い笑みを漏らし、遠くを見つめついるなまえの目の前の道を、月灯りがゆらゆらと照らしている。その道の先に、俺は居ないのだと解っていた。俺は無意識の内に顔を歪ませ、唇を噛み締めていた。


「カカシもちゃんと留守番してるんだよ?」


そう言って俺の頭をポンポンと叩く。なまえの手の温かさも、俺の抱いている気持ちも、あの頃から何ら変わりは無い。


そう、変わりは無いんだ。


何度も俺は変えたいと思った。俺を男として見て欲しかった。なまえが無事に還ってくる保証は無い。それは俺だって同じ事。


あの頃とは違う、男としての俺を、何度も見せたいと思った。


「……行ってくるね」


俯き、遠慮がちにそう告げたなまえは、いつもの様に俺の頭に手を乗せる。すぐ傍で感じるなまえの匂いが苦しい。


変えられないのか?


優しく微笑み、去って行くなまえの手からの温もりは、昔も今も何一つ変わっていなかっが、俺はそれがなまえの答えなんだと直感した。
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