優しさを添えて
(2/4)
半年前、なまえが長期の任務で一年間里を離れる事を知った。
なまえは三代目からの信頼も厚く、誰に対しても厳しく優しく、忍の在り方というものを教えてくれた人だったから、なまえの送別会も盛大に行われた。
いつも威勢のいいアンコでさえ涙声で、なまえはしみったれたアンコを優しく気遣い、頭をポンポンと叩いていた。
昔から俺にしてきた様に。
「皆ありがとう。留守番宜しくね」
そう言って颯爽と去って行くなまえを、俺は追いかけずにはいられなかった。
「なまえ、待って!」
俺の声に気付いたなまえが立ち止まり振り返る。月に背を向け、眩しさが増す。
「カカシ、どうしたの?もしかして、寂しくなっちゃった?」
俺を覗き込みながら悪戯に言うなまえ。その大きな瞳で、幼かったあの時の俺を見ているかの様に。
「俺、もう子供じゃないヨ」
男として見てくれないという現実、それを苦笑で隠す俺。
『あはは、そうだよね』と軽い笑みを漏らし、遠くを見つめついるなまえの目の前の道を、月灯りがゆらゆらと照らしている。その道の先に、俺は居ないのだと解っていた。俺は無意識の内に顔を歪ませ、唇を噛み締めていた。
「カカシもちゃんと留守番してるんだよ?」
そう言って俺の頭をポンポンと叩く。なまえの手の温かさも、俺の抱いている気持ちも、あの頃から何ら変わりは無い。
そう、変わりは無いんだ。
何度も俺は変えたいと思った。俺を男として見て欲しかった。なまえが無事に還ってくる保証は無い。それは俺だって同じ事。
あの頃とは違う、男としての俺を、何度も見せたいと思った。
「……行ってくるね」
俯き、遠慮がちにそう告げたなまえは、いつもの様に俺の頭に手を乗せる。すぐ傍で感じるなまえの匂いが苦しい。
変えられないのか?
優しく微笑み、去って行くなまえの手からの温もりは、昔も今も何一つ変わっていなかっが、俺はそれがなまえの答えなんだと直感した。
.
- 2 -←|→
List|Top|Main>>
Index