モテる男はお辛いですか?C
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ゲンマが来たらクラッカー鳴らして沢山用意した料理を振る舞うんだ。
真っ白なテーブルクロスの上でとびっきり上等なワインで乾杯するんだ。
嫌味なくらいに蝋燭を立てたケーキを囲んで、『オヤジおめでとー』って祝うんだ。
プレゼントだって用意したし準備万端。
窓からゲンマが来るのを待ち構えていると、クラッカーを持つ手が震えてくる。
それでも約束の時間はまだ先で、早くゲンマが来てくれないかといつの間にかクラッカーを握り潰してた。
どうしたらいいか解んないよ……。
余裕なんてものは粉々で、恋人という台座は不安定。
突然身を裂かれるのと、じわじわっと身を引き裂かれるのではどっちが痛い?
一瞬にして闇に落とされるのと、徐々に視界が狭まっていくのではどっちが恐い?
それでも任務だと納得しなきゃ駄目なの?
その時、窓の外にゲンマが見えたから縋るようにドアを開けてクラッカーの糸を引いたけど、握り潰されたクラッカーは無反応だった。
「……格好悪、私」
涙でゲンマを迎え入れる事になったのは、カカシのせいなんかじゃないからね。
クラッカーが不発に終わって虚しかったんだよ。
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