意識

(7/7)
「ねぇ、カカシは恋人とかいないの?」


なまえの問い掛けにより我に返る。


「いないヨ」


なまえは些か俺の答えに不満を感じたのか『ふ〜ん』と口を尖らす。


「なまえこそどうなの?モテそうだよ?」


するとなまえは泣きそうな顔を俯いて隠した。そして直ぐいつも通りの顔で言った。


「居たらあのクローゼット封鎖してるよ」


何ヨ、それ。
気になる発言しないでヨ。


俺はなまえの憂いを帯びた目に吸い込まれる。


ごめんネ。聞いちゃって。なまえのあの詩がどうしても気になったから、たまらず聞いてしまったんだ……。




『一瞬の内に飲み込んでいく闇はあの人だけを連れてった。何故私も全て連れてってくれなかったの……』

なまえがそう言いながら、自分が失ったのは左目の視力だけだったと、いつも自分を責めていたと……。




そんなに悲しそうな顔しないでヨ。
どこか諦めたような悲壮感の漂うなまえを、気付けば抱き締め、唇を重ねていた。



唇を離すとなまえは言った。


「カカシ……、私……」



なまえは言いかけた。



いいじゃない。
例え住む世界が違くとも。


本の一時でも、なまえの慰めになるのなら……。



いいじゃない。
なまえと俺を繋ぐのが、例え泡沫の夢だとしても。




今こうして、抱き合うことが出来るのだから……。

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