閉じられたクローゼット

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何とも脆く、儚い夢なのだろうか。


「越えられない、のか……?」


俺は唇を噛み締め、なまえを引き止めることも出来ないのか……。


「カカシ……。やっぱり夢は醒めるもんなんだよ……」


涙を浮かべ振り返ったなまえは、夢や幻なんかじゃ無いのに、今にも消えてしまいそうだった。



そのままクローゼットへ消えていくなまえ。



なまえのその温もりに触れることはもう無いのだと、気付いた時には俺の頬を涙が伝った……。



なまえの居ない部屋は広く見えるが窮屈で、俺のこの部屋の隅々に浮かび上がるなまえの影と、罰ゲームで撮ったなまえの写真が切なかった。



なまえに触れた唇も、
なまえを抱いたこの腕も、服についたなまえの匂いも、こんなにもはっきりと残っているのに……。


これが夢だなんて思えないヨ……。



閉じられたクローゼットと、最後に見たなまえの涙。俺は、幾つものなまえの影を抱きながら、涙が枯れていくのをただ待っているだけだった……。

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