クローゼット

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プルルー、プルルー。

午前九時過ぎ。静まり返っていた部屋に呼び出し音が響く。


……誰だよ、タイミング悪いな。


先ほどベッドに入ったばかりのなまえは、眠りを邪魔され酷く不機嫌だ。


はいはい、今でますよと、気怠るそうにベッドから這い出したなまえは受話器に手をかける。


「はい、もしもし……」


些か声のトーンを落として電話口に出れば、相手は朝から真面目な編集者。



「おはようございます。新しい詩集の出版が決まりましたよ!詳しくはメールしときますから!」


全部メールでいいのにと思いつつも、直ぐに送られてきたメールに目を通すと、何とも過酷なスケジュールが並んでいた。


所詮そこそこの私だ。無理難題をふっかけられてもやるしかない。



ヤバいな……。早急にネタを探さないと……。




そう思ったその時──。


急に部屋全体が波うち、立っていられない程の揺れを感じ、なまえは床に座り込んでしまった。



……でもおかしい。


辺りを見渡せば、あんなに揺れたのに家の中の物は何ひとつ倒れていない。



外を覗いてみても何ら変わりはない。


一体何だろう。


訝し気になまえは確認のために自分の至る部屋を確認してみるが、やはり特に変わりはない。


しかし、不思議に思いつつも最後に普段物置にしてる部屋のノブに手をかけ、静かにドアを開けた所でなまえの心拍数が大きく跳ね上がる。



「はい??」

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