クローゼット
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部屋はいつもと変わりはない。しかし、何故かクローゼットが開き、その隙間から人影が見える。
新手のストーカー!?と言うより……
「誰っ!?」
恐る恐る声を掛ける。するとクローゼットからは何とも緊張感の無い声が返ってきた。
「いやー誰と言われてもネ。君こそ誰?」
……何?物取り?
恐怖心と闘いながらもとっさに身構える。
こう見えても有段者だぞ、私は。……自己流だけど。
しかし恐怖心も不信感も拭えない私は、まだ相手との距離がある事を確認し、素早く後ろ手でドアノブを掴み、玄関から外へ逃げようと試みた。
私は部屋の入り口、相手は部屋の隅のクローゼット。大丈夫、逃げられる!
しかし、私が大きく深呼吸してドアをすり抜けようとした時、物凄い勢いで腕を掴まれ言葉を失った。
あぁ、私の人生此処で終わるんだ……。
新しい詩集の出版……、決まったばっかりなのに……。
最悪な結末を想像しながら目を閉じたが、いつまで経っても苦しみや痛みは襲って来ない。
「ねぇ、君、何かした?」
……あれ?
私の人生、終わってないの?
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