左ストレート

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「なまえ、出ないの?」

繰り返し聞こえる着信音。カカシは不思議そうに携帯画面を覗くが、私はカカシから携帯をもぎ取り電源を切った。


「なまえ?」

「ごめん、最近よくかかってくる悪戯電話だよ」


とっさについた嘘。



私は狡いんだ。
嘘だって事はバレバレなのに、私がこう言えばカカシは信じた振りをしてくれる。


「そっか。じゃ食器片付けちゃうネ?」


そう言いながらキッチンで洗い物をはじめるカカシ。その背中を見ていると何故か胸が苦しくなった。



カカシに言えない事じゃないんだけど。

私はその話をする時に、きっと泣いてしまうから。



私はまだ、カカシの前で泣きたくないんだ。カカシは優しいから、カカシは私を甘えさせてくれるから、これ以上カカシに依存してしまうのが少し怖いんだ。


「カカシっ!」


私は深呼吸してからカカシに後ろから飛びついた。


「うわっ!なまえ!」


自分の弱さを包み隠す様に、カカシをしっかり抱き締めた。


「カカシ、ありがとね」


愛してやまないカカシだから、強がりな私を許してね。


カカシはゆっくり振り返り、私を抱き締め返しキスを落とす。


そう……、泡の付いた優しい手で……。
……………泡?


「はぁぁ!?泡付いたぁ!!」

「あはは。左ストレートのお返しだヨ!」



今の私達には、これ位がちょうどいいのかもしれない……ね。

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