左ストレート
(6/6)
「なまえ、出ないの?」
繰り返し聞こえる着信音。カカシは不思議そうに携帯画面を覗くが、私はカカシから携帯をもぎ取り電源を切った。
「なまえ?」
「ごめん、最近よくかかってくる悪戯電話だよ」
とっさについた嘘。
私は狡いんだ。
嘘だって事はバレバレなのに、私がこう言えばカカシは信じた振りをしてくれる。
「そっか。じゃ食器片付けちゃうネ?」
そう言いながらキッチンで洗い物をはじめるカカシ。その背中を見ていると何故か胸が苦しくなった。
カカシに言えない事じゃないんだけど。
私はその話をする時に、きっと泣いてしまうから。
私はまだ、カカシの前で泣きたくないんだ。カカシは優しいから、カカシは私を甘えさせてくれるから、これ以上カカシに依存してしまうのが少し怖いんだ。
「カカシっ!」
私は深呼吸してからカカシに後ろから飛びついた。
「うわっ!なまえ!」
自分の弱さを包み隠す様に、カカシをしっかり抱き締めた。
「カカシ、ありがとね」
愛してやまないカカシだから、強がりな私を許してね。
カカシはゆっくり振り返り、私を抱き締め返しキスを落とす。
そう……、泡の付いた優しい手で……。
……………泡?
「はぁぁ!?泡付いたぁ!!」
「あはは。左ストレートのお返しだヨ!」
今の私達には、これ位がちょうどいいのかもしれない……ね。
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