初めての涙

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右手を固定されてから三週間。
本日いよいよギプスから解放されるにも関わらず、私はベッドの上で何度も寝返りをうち、ずっと寝付けないでいた。



まだ日も昇らぬ早朝。



体は睡眠を求めているが、恐ろしい速さで不安信号が思考回路を駆け回っている。



ギプスで固定された右手云々ではない。



……カカシが帰って来ないんだ。






『ギプスが取れたらお祝いしようネ』



任務に出掛ける前にカカシは言った。



本当なら一昨日のお昼には帰って来てる筈なのに、カカシの部屋に行ってみても帰って来た気配は無い。



ゲンマやアンコなら……と思って聞いてみたが、守秘義務がある為に詳しくは聞けなかったが、どちらも『まだ帰って来て無いが、大丈夫だ』とだけ教えてくれた。




任務に少し手間取ってる、カカシは里のエリートだから大丈夫。



そんな確証の無い言い訳で不安を押しやれる訳が無い。




カカシが居る事に慣れすぎていた私は、隙間から差し込んでくる朝日により睡眠を諦め、願いを込めた。



カカシが無事であります様に……。



大切な人が急に居なくなるなんてもう沢山だ。


心の靄が晴れぬまま、気付けば時間だけが過ぎていき、私は病院へ行く準備を始めた。

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