初めての涙
(3/8)
カカシの事を考えている内に、いつの間にかギプスは外されていた。処置中の事なんて一つも思い出せない。
久しぶりに自由になった右手は少し頼りなかったが、カカシの事が気になって仕方が無い。
カカシが帰って来てるかもしれない。
淡い期待を胸中に隠し急いで家に帰ったが、やはりカカシの姿はない。
そう私が落胆していたその時、物置部屋から物音がしたので期待をしていたが、そこにはカカシではなくゲンマの荒々しい声が響いていた。
「なまえ!居るか!?」
そう叫びながら私を見つけたゲンマは、私より先に話し始める。
「なまえ、カカシが帰って来たぜ」
ゲンマのその言葉で私は安堵の息を漏らしたが、それなら何故カカシでは無くゲンマが此処に居るのか……。
あのカカシなら一番に此処へ来ても可笑しくない。更なる不安が私を包み始め、私はゲンマに確かめた。
「カカシに……何かあったの?」
恐る恐る聞く私にゲンマはふっと笑い、自分で確かめろと私を木の葉に連れて行った。
行き先は多分病院だと思っていた私。
しかしゲンマに連れて行かれた先は病院では無く、以前カカシと行ったことのある『酒酒屋』だった。
ゲンマに案内されながら、奥の貸切になっている座敷に通されると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「なまえ、完治おめでとー!」
目の前の銀髪を見れば安堵が押し寄せたが、私の心配など杞憂だとばかりに無傷で笑みを浮かべているカカシ。
喜ばしい事だが何故か苛つく。
あんなに……。
あんなに心配したのにっ!
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