初めての涙
(8/8)
カカシは手で顔を覆いながら、ビールをぶら下げ部屋に入る。なまえは構わずカカシをソファーに座らせビールを握らせた。
「カカシの復活に乾杯」
なまえはそう言ってビールに口を付けるが、次第に顔は俯いていく。
「なまえ、黙っててごめんネ?」
カカシからの言葉に体を震わせるなまえ。カカシはそんななまえを抱き締めた。
「また、居なくなっちゃうのかと思った……」
普段のなまえからは想像し難い程の弱々しい声で、なまえが涙を堪えているのが痛々しい。
「ごめんネ……」
カカシは謝る事しか出来ないんだ。
今回はこれ位で済んだが、カカシが忍である以上、それがなまえにとって理解し難い事であっても、カカシが必ず還ってくる保証は無い。
「カカシ、お願いしてもいい……?」
カカシはなまえの声を耳元で受け止め、続きを促した。
「嘘でもいいから、口先だけの約束でもいいから……。居なくならないで……」
カカシはなまえの髪をそっと撫でながら言った。
「なまえ、約束するヨ」
俯いて震えるなまえを抱き締め、カカシは思った。
なまえを悲しませたく無い。
例えこれが口約束になろうと、なまえが隣で笑っていてくれるのなら、俺は幾らでも強くなれる。
顔を上げたなまえの瞳は涙が今にも零れそうだった。
「カカシ……、おかえり」
その言葉にカカシは全身から愛しさが込み上げてくるのが解った。だからカカシは、その込み上げてくる想いのままをなまえの唇へ流し込んだ。
唇が触れるとなまえの涙が頬を伝う。
カカシは何度も角度を変えてなまえに想いを注ぎ込む。
愛しさの後ろには切なさが見え隠れしていたが、カカシはなまえの奥深くまで注ぎ込んだ。
愛しいなまえ。
俺の還る場所はいつだって此処だからと。
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