初めての涙

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カカシは手で顔を覆いながら、ビールをぶら下げ部屋に入る。なまえは構わずカカシをソファーに座らせビールを握らせた。


「カカシの復活に乾杯」


なまえはそう言ってビールに口を付けるが、次第に顔は俯いていく。


「なまえ、黙っててごめんネ?」


カカシからの言葉に体を震わせるなまえ。カカシはそんななまえを抱き締めた。


「また、居なくなっちゃうのかと思った……」


普段のなまえからは想像し難い程の弱々しい声で、なまえが涙を堪えているのが痛々しい。


「ごめんネ……」


カカシは謝る事しか出来ないんだ。


今回はこれ位で済んだが、カカシが忍である以上、それがなまえにとって理解し難い事であっても、カカシが必ず還ってくる保証は無い。


「カカシ、お願いしてもいい……?」


カカシはなまえの声を耳元で受け止め、続きを促した。


「嘘でもいいから、口先だけの約束でもいいから……。居なくならないで……」


カカシはなまえの髪をそっと撫でながら言った。


「なまえ、約束するヨ」



俯いて震えるなまえを抱き締め、カカシは思った。



なまえを悲しませたく無い。


例えこれが口約束になろうと、なまえが隣で笑っていてくれるのなら、俺は幾らでも強くなれる。




顔を上げたなまえの瞳は涙が今にも零れそうだった。


「カカシ……、おかえり」



その言葉にカカシは全身から愛しさが込み上げてくるのが解った。だからカカシは、その込み上げてくる想いのままをなまえの唇へ流し込んだ。


唇が触れるとなまえの涙が頬を伝う。


カカシは何度も角度を変えてなまえに想いを注ぎ込む。




愛しさの後ろには切なさが見え隠れしていたが、カカシはなまえの奥深くまで注ぎ込んだ。




愛しいなまえ。
俺の還る場所はいつだって此処だからと。

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