帰郷
(2/7)
この日の待機所内は、いつもと違いざわついていた。
それは遅刻魔のカカシが珍しく定刻通りに来たからでも無く、ヘビースモーカーのアスマが禁煙したからでも無く、あの下忍が帰って来たという噂で持ち切りだった。
「ちょっと!やっぱり帰って来たってよ!」
勢い良く開け放たれたドアからアンコがそう叫ぶと、待機所内の忍達は一斉に財布を取り出し始める。
「俺は今年こそ中忍昇格に……一万だな」
そう言ってアスマは人差し指と中指に挟んだお札を待機所の隅に置かれた『合格』と書かれた黒い箱に入れると、隣に居たカカシも徐にお札を取り出した。
「いーや、アスマは解ってないネ。あいつは今回も白箱の『不合格』だヨ」
「……何だよ、随分と自信があるじゃねぇか」
口布で隠れているため直には見えないが、意味深な笑みを浮かべているであろうカカシにアスマが眉を寄せると、カカシは勝ち誇った顔で言う。
「あいつの事は俺が一番よく知ってるからネ。じゃお疲れさん」
カカシがそう言い去って行くとアスマは妙な敗北感に包まれ、終始二人のやり取りを笑いながら聞いていた紅に向かって呟いた。
「一体何なんだよ、カカシのやつ……」
「ふふ、カカシは見てたのよ」
「……何を?」
「綱手様が黒箱の『合格』にお金を入れてるところ」
紅の言葉にアスマの口からは煙草が落ちる。
「……勘弁してくれ」
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