ただの下忍です
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ある日の夕方、任務を終えた俺が報告書を提出しようと受付のドアに差し掛かると、中から怒鳴り声が響いてきた。
「冗談じゃない!今すぐ他の忍と変えてくれ!」
タイミングが悪かったかな?と、静かにドアを開けると、声を荒げた依頼人らしき人物がなまえを指差し激怒していた。
「この歳で下忍、しかも女ではないか!下の下もいいところだ!こんな奴にワシの護衛が務まる訳ないだろう!」
そんな依頼人の罵声により注目の的になってしまったなまえは、周りの視線に耐えながら唇を噛んでいる。
「さっさと別の忍を連れて来い!」
そんな言葉を浴びせられたなまえを見て、堪らず俺が前へ出ようと足を踏み出した瞬間、騒ぎを聞き付けた綱手様が現れた。
「一体何の騒ぎだい?」
ツカツカと威圧感たっぷりに真ん中を突っ切り、受付係に詳細を語れと無言で促す。
「あの、実は……」
なまえの居る手前、遠慮がちに語る受付係は、話し終わると恐る恐る綱手様を見上げた。
「全く、仕方ないねぇ」
腰に手をあて辺りをゆっくり見回した後、綱手様は依頼人の方へ向き直る。
「別の忍にしたいと言う依頼主はあんたかい?」
「そうだ。早くしてくれ。こっちは急いでいるんだ!」
「忍の当日変更は別料金だよ」
綱手様はそう言って、渋々と懐から財布を取り出した依頼主を見て口元にだけ笑みを乗せた。
「チッ……、いくらだ?」
「依頼料の一割。きっちりいただくよ」
有無を言わせぬ鋭い視線に、さっきまで威勢のよかった依頼人は閉口し、悔しそうな顔をして代わりの忍と受付を後にしていった。
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