抜け落ちていた過去
(2/4)
無理矢理こじ開けられた玄関から再度なまえの部屋へ入ると、それは大変な有り様だった。引き出しという引き出しは全てひっくり返され、ソファーやクッションは刃物で切り裂かれて原形を失っていた。
「……改めて見るとすごいね、これ」
「よっぽど切羽詰まってたんだろうね」
溜め息をつきなから一つ一つ拾い上げてはごみ袋に片付けていくなまえは、俺に背を向けたまま呟く。
「お気に入りだった写真たて、ダメになっちゃった……」
苦笑しながら振り返った彼女の手には、幼い頃の俺達が写っている。満面の笑みの彼女と、少しそっぽを向いている俺の首には、なまえが作った花の首飾りがかけられている。懐かしい、俺の誕生日に撮った写真を、彼女は愛しそうに見つめていた。
「今度、新しいの買いにいこうか?」
俺がそう言うと、なまえは静かに頷いて、その写真を引き出しにしまった。
お互いほとんど言葉を交わす事無く、あらかた片付け終わった所で、なまえは冷蔵庫からビールを取り出し、一本を俺に差し出す。ちょうど喉が渇いていたが、俺はそれを飲むのを躊躇っていた。
「……飲まないの?」
「なまえの話を聞いてからにするよ」
とりあえずと、切り裂かれたソファーに腰を下ろすと、なまえは勢い良く缶をあけてビールを流し込んだ。そして一息つき、手元の缶を見詰めながら口を開いた。
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