抜け落ちていた過去

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「今回は巻き込んじゃったけど、次からは気を付けるから。……ごめんね」

「ごめんね……って、またこんな任務をするの?」


いつの間にか、倒された花瓶を片付けていたなまえに向かってそう尋ねると、なまえはいつかのあの花を手にして振り返った。

倒れた時に花弁に花瓶の水がかかってしまったのだろう。あの誓いの花は痛々しく萎れてしまっていた。それを愛しげに抱えるなまえの姿に胸を打たれたが、その余韻に浸る暇もなく溜め息が漏れた。


「……そうだよ」


彼女が今まで何をしてきたのか。
それを理解するには十分過ぎる答えだったかもしれない。




幼少時に里を離れたのは、罪人収容所の最高責任者の娘として『周知させる』という任務の為。

重大な罪を犯し収容されている者を助けようとする仲間や組織にまで知れ渡るように、数年をかけて彼女を周知させ、彼女は次の任務に入ったのだ。

彼女の肩書きは下忍だ。手段を選ばず、そんな彼女を手玉にして脱獄の手引きをしようとする輩は多いだろう。

彼女を取り込み、幾重にも厳重に封鎖された収容所への最も確かな侵入経路を聞き出そうとしてもおかしくは無い。

何しろ彼女は下忍なのだから。
しかし、それはあまりにも……。


「……危険過ぎるでしょーよ。……囮なんて」

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