私は幸せです

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だからいいじゃない。
売れなくたって、俺が居るじゃない。



「忘れないでヨ。俺がなまえと一緒に居れて幸せな事」


「カカシ……」



なまえの我が儘なんかじゃないヨ。なまえがこの世界を選んだ事は、そんな事じゃない。仕事も家族も友達も、全部置いてくる覚悟は我が儘なんかじゃ片付けられる訳がない。



それなのに、今確かに俺の腕の中に居てくれるんだ。



「売れなくてもいいじゃない」




私は貶されてるはずなのに、カカシの台詞が何だかとっても格好良くて、不覚にも涙腺が緩んできた。


でもここで泣いてしまうのは癪だから、


「……まだ売れないって決まった訳じゃないよ」


そう強がって笑ってみせると、カカシは顔を綻ばせながらそっと顔を近づけた。


「お願いだから俺より稼いでこないでネ」


鼻先が触れたまま、自然とお互いから笑みが零れる。
そして静かに重なる唇に誘われ、ゆっくりとゆっくりとカカシの愛に触れていく。



私、この世界に来て良かったよ。
カカシを好きになって良かったよ。



「なまえ、愛してるヨ」



僅かな唇の隙間から落とされる甘い囁き。


「私も、愛してる……」




本当に、本当に、心から言えるよ。





私は幸せですって。

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