約束の口付けを

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退院してから久しぶりにお店に顔を出すと、緑丸が大量の薬草を袋詰めしている所だった。


「あっ!なまえ!やっと来たな!」


「あはは、久しぶり、緑丸。……ってすごい量の薬草だね」


「これ、アカデミー生が薬草の授業で採ってきたやつだよ。今度から余分なのを届けてくれるんだって」


何でもカカシがイルカ先生に『授業で余った薬草を届けてくれないか』と提案してくれたそうで、あの事故に遭って以来、珍しい薬草なんかも届けてもらえる様になり、お店の品揃えも豊富になったらしい。



「カカシさんのお陰でなまえと薬草摘みに行く必要が無くなったのは残念だけどな」


「あはは、緑丸は相変わらずだねー」


お互いに笑い声を上げてそんな話をしていると、店の奥からおばあちゃんが心配そうに駆け寄り、私の体を優しくさする。


それはとても温かくて、おばあちゃんに『もう大丈夫だよ』と伝えると、少しは安心してくれたのか、おばあちゃんはまたいつもの笑顔を見せてくれた。



「またお手伝いさせて下さいね」



私は暫くお休みをもらっていたので、そう挨拶だけしてお店を出ると、後ろからパタパタと小さな足音が聞こえてきた。


その足音にふと振り返れば、ふいっと横を向いた緑丸がポケットに手を突っ込んだまま口を開く。


「カカシさんに言っとけよな」


「ん?何を?」


そう聞き返すと、緑丸は口を尖らせながら私を見上げる。


「だから、その……。カカシさんに……負けねーぞって!それと、ありがとうって!」


再び小さな足音はお店の中に消えていく。



そしてこの少年からカカシへの宣戦布告は、お店の外で待っていたカカシにもしっかり聞こえた事だろう。


心地良い風を感じながら振り返れば、案の定電柱の影からカカシが顔を覗かせる。


「こりゃ参ったネ」

「あはは。勝算は?」


「なまえのみぞ知る」



ふっと笑って、カカシは私の手をとり歩き出す。少し不器用になった私の右手を、優しくしっかりと握りながら。

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