職探し
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……自来也?
確かカカシも今朝そんな事を言って出て行ったよね?
「ね、カカシにも朝にそう言われたんだけど」
定食屋を出たゲンマの後を歩きながら声を掛けると、ゲンマは目を輝かせて振り返る。
「やっぱりな。流石はカカシだぜ。自来也様ならお前にぴったりの仕事を紹介してくれんぞ」
「もしかして、それは官能小説家という道ですか?」
「よく解ってんじゃねぇか。大体お前が誇れる事なんてそんくらいじゃねぇか。そんな求人誌なんぞさっさと捨てて、自来也様んとこ行ってこい」
私にはこれしか無いと言いたいのか?いや、これしか無いと言ったな?何か凄く腹立つんですけどっ!
しかし、そんな私の心中を察する気遣いなど微塵も感じられないゲンマは、千本を銜えたまま陽気に歌なんか口ずさんでいて、それはそれは耳障りだった。
「……もう二人には相談しないよ」
私の嫌味たっぷりの呟きもゲンマの鼻歌にかき消され、ゲンマの鼻歌が止んだと思ったらこの発言。
「じゃ、自来也様にはカカシと話をつけとくからな」
震える拳を振り落としてもいいでしょうか?
「勝手に決めるなー!」
ゲンマはそう叫んだ私の言葉を振り払うように、後ろ手で手を振り去って行き、私は最早その背中を睨み付ける事しか出来なかった。
このままじゃ官能小説家へ一直線……。
言っておくけど、私の世界じゃ全然売れなかったんだよ?それでもこれしか無いのかな……。
半ば選択権を奪われたような感覚に眩暈を覚え、私は重い足取りと大きな大きな溜め息を抱え、カカシの部屋へと帰路を辿った。
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