想い、出逢い@
(6/6)
「緑丸ー、なんか最近はりきってるねー。何かあるの?」
「へへっ。実はさ、もうすぐお父さんが帰ってくるんだ!……って言っても何日か後にはすぐに次の仕事に行っちゃうんだけどね」
屈託のない子供らしい笑顔は、すぐに哀色を帯びる。
生まれてすぐに母を亡くし、家族の為に薬を売り渡る父に代わり緑丸の面倒を見ながら店を切り盛りする祖母。そんな家族の姿を見て育った緑丸。
「そっか……。じゃあ沢山甘えてあげなきゃね」
「はっ?俺、もう子供じゃねーしっ」
そう言って緑丸は、照れくさそうに鼻先を掻いては私を誤魔化そうとするから、素直じゃない言い草が素直に聞こえる。
「あはっ、じゃー子供じゃない緑丸くん、このお薬はどこに並べればいいか教えてくれます?」
「あーそれ、慣れてないヤツが素手で触ると手が荒れるぞ。なまえは違うの並べとけよ」
六歳の子供が……なんて事言うの。緑丸のふとした表情や仕草に過去が飛び出してきそう。
「なまえ、早くしねーと兵糧丸の作り方教えねーぞ」
「ごめん、ごめん!すぐやります!」
時折感じる懐かしさ。しかしそれが、違う世界に居る弟へのものだけでは無なかったと、後に気付いた時の私は涙を止める事が出来なかった。
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