想い、出逢いB
(6/6)
「じゃ俺は穂積んとこに寄って帰るわ」
暫し話し終えた所でゲンマが席を立つと、なまえはゲンマを呼び止めた。
「ゲンマ、穂積さんに伝えてくれる?」
「何だ?」
「ごめんなさいと、ありがとうって……」
ゲンマはカカシにチラッと目を向け、ふっと息を漏らして口元を緩める。
「あぁ。ちゃんと伝えておくよ」
バタンと閉じたドアに隔てられた後、カカシはなまえの寝ているベッドに腰掛け、静かになまえの頬に触れた。
過去の悲しい記憶と再会してしまったなまえに、優しくそっとカカシが触れる。
「……なまえ、恐かったネ」
カカシは穏やかな声でそう言いながらなまえの頭を撫でると、なまえは目を伏せて震え出し、それを見たカカシはなまえが涙を必死で堪えているのだと解っていた。
「……頑張ったネ」
それは深い深いカカシの一言だった。
「カカ……シ……っ」
なまえは尚も涙を堪える。しかし様々な思いが胸に込み上げ、カカシに髪を撫でられる度、カカシの温もりが伝わってくる度、心という受け皿から思いは零れ落ち、それは次第に涙となって頬を流れた。
「どうしたって忘れられない……っ。鏡を見る度、この目が何かを映す度に、どうしたって忘れられない……。だけど、……だけどカカシが大好きなの……」
そう言ってはまだ控え目に涙するなまえをカカシは優しく抱き締めながら、静かに息を吐きながら言った。
「思い出にする事と忘れる事は違う。それでいいんだ」
カカシはなまえを気遣いながら抱き締めた腕に力を込める。
「全部ひっくるめて好きになったんだ。だからなまえはそのままで、俺を好きだと言ってくれればいいんだヨ」
例え泣いたって疑いはしないから。
それ程まで人を愛せるなまえの言葉ほど、信じられるものは無いんだから……。
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