エクシードとは。
彼女(と、呼ぶことにする)が言うには、ようは猫っぽい姿で2足歩行で歩いて人と同じ言葉を話す生き物らしい。
「ちなみに、この羽は"エーラ"っていう翼を出す魔法だよ!エクシードはみんな、生まれつき使える魔法だね」
「魔法」
「うん。…私、この世界とは違う世界で生まれたから」
まぁ、見ればわかるよね!こんな生き物いないよね!
(いや、いるけど)
イレイザーヘッド、塚内の頭にはコーヒーを手に高笑いを上げるネズミが浮かんでいた。
「じゃあ、どうして別の世界の君がここに?」
「そこの彼が呼んだからだね!」
そこの彼。ーーーもとい、ヴィランの男。
散々足蹴にされたヴィランはすでにその意識を飛ばしている。一体どれだけ蹴ったのやら。
現状、その場でできることは限られている。
ヴィランは捕縛され警察署に連行された。そして残った彼女に関しては。
「…なんか忙しそーだねぇ。サクラさん、あれだったら警察署いく?」
「いや、そういう訳にもね。君、別に悪いことしてないし」
「だったら俺のところで引き取りますか。」
今まで黙っていたイレイザーが口を開く。どちらかと言うと面倒ごとが嫌いな質の男の言葉に、珍しいとその顔を見れば、早く帰らせろとデカデカと顔に書かれていた。
ぱちぱちと彼女が瞬きする。
そのまま、イレイザーの前まで行き、目の高さまで飛び上がった。
「エクシードのサクラです!宜しくお願いします」
「…はい、よろしくね」
男の手と小さな猫の手が緩く重なった。