ある日の夜。
談話室では、一成、シトロン、左京、東が麻雀をしていた。
その横では、万里にもたれかかりながら、心がゲームをしていた。

三角や、他の団員はテレビを見たり、雑誌を読んだりと各々の時間を過ごしていた。

「……っし!心、弱体化させたから、ぶったたけ!」

「りょー!」

「……ツモ。」

「ちっ、役満か…。」

「悪いね。」

「またアズーがトップ!」

賑やかな光景を見て、支配人は泣き始めた。

「うっうっ…!」

その光景を見ていたいづみは、どうしたのか?と支配人に聞いた。

「在りし日のカンパニーの姿が戻ってきたようで、うれしくて……っ。」

一成は、そういえば!と言いながら
何かを取り出した。

「これこれ!はい、これがロンロン、アズー、フルーチェさんの分!」

「そのあだ名、どうにかなんねぇのか……。」

「え?古市ってずっと言ってたら、フルーチェになるし!」

「そういう問題点じゃねぇ。」

「カズくんのあだなってかわいいよねー。」

「はぁ?俺、セッツァーだけど?」

「可愛い、可愛い。」

「適当かよ!」

一成は他の団員にも配った。

「……これ、何かな?名札?」

東が不思議そうに質問すると、一成は
「団員証ー!」と言いながら、いづみや支配人、心にも配った。

「かわいいけど……カズくん、これ何に使うの?」

「身分証明とか、免許証の代わり!」

「なるか!」

「とりま冬組まで揃ったんだしさ、なんかおそろで持ちたいじゃん〜!」

左京は不思議そうに「なんだそれは…。」と呟いた。

「でも、仲間って感じでいいね。」

「MANKAIカンパニーのシチリンって感じするヨ!」

「七輪?」

「シトロンさん、それ一員?」

「ココロ!それダヨ!」

「さすが至さんの妹。通訳できんだな。」

「あてずっぽうだよ。」

いづみは「一員かぁ…。」と、嬉しそうに笑い、一成にお礼を伝えた。

「どういたしまして!タクスもどーぞ!」

「…たすく、だ。」

「それから、つむつむヒソヒソありりんね!」

いづみは「何、その呪文みたいなの…?!」と一成に聞くと、どうやら冬組のあだなのようだった。

「スミーのは、特別にさんかくー!」

「わーい!さんかく、さんかく〜!」

団員証に書かれたsince1992に気づいた東は、創設した年なの?と質問した。
それに答えたのは、支配人だった。

「はい!私はまだ入団してなかったんですけど、もう26年になりますね。」

「ずいぶん歴史があるんだね。」

「不思議な逸話もあるんですよ。」

「逸話?」

「劇団七不思議といいまして…。」

一成は、そのうちの一つは三角だったけどと笑いながら話した。

「まだまだとっておきのがあるんです!」

「じゃあ話さずに、とっておきなよ。」

「ええー?!心さんも、そんなこと言わずに聞いてくださいぃー!『無限人形』とか、『開かずの間』とか、『まごころルーペ』とか…。」

「冬にそういう話はちょっと…。」

怖がるいづみに、一成は
「まあまあいいじゃん、気になるし!」
と笑いかけた。

「『無限人形』って?」

「 その昔、仲違いした二人の団員がいたそうで、ある日その二人の元に不思議な人形が届いたらしいんです……。その人形は、二人が仲直りするまで許してくれず、永遠に無限地獄をさまよう羽目になるとか…。」

「こ、怖い……。」

いづみが怖がる横で、左京は
「仲直りするまで許してくれないって、怖いんだか怖くないんだかよくわからねぇな。」
と話した。

「むしろいい奴ダヨ!」

「たしかにそうですね。」

「まぁ、そんなのきても、俺らならチャッチャと終わるよなぁ心?」

「そうですね。なんだかんだ喧嘩しても、すぐ仲直りしてますし!」

「セッツァーもここぴもナチュラルにイチャつきすぎぃー!ジェラるー!!」

「えへへぇー…!でも、それってどんな人形なんでしょうね?万が一その人形きてもわかんなかったら面白くないですよね??」

「やっぱ、定番の市松人形じゃね?」

「かかしかもしれないヨ!」

「それ人形のカテゴリじゃねぇよ!」

「こけしとか?」

「それダヨ!」

三角は「お人形さん!会いたい!」と、少し観点がずれているようだった。

一成もすかさず「いや、そういう類の人形じゃないと思う!」と、つっこんだ。

「誰も見たことがないのでわかりませんが、仲違いした人は気をつけてくださいね。みんな仲良く!」

「へーい。」

万里は軽く返事をして、心を後ろから抱きしめた。

「きゃああっ!万里さん苦しいっ……!!!」

「摂津!ベタベタするなら他にいけ!」

「ほら、左京さんにおーこらーれたー!」

「うっせぇ!」

丞は大きなため息をつきながら
「そんなオカルトあるわけない。」と
はっきり否定した。

「『開かずの間』っていうのは?」

「その名の通り、開かずの間です。ある日、一人の団員の姿が忽然と消えてしまいまして、探しに行ったところ『開かずの間』に閉じ込められてたとか…。」

「どうせ、そいつのでたらめだろ。」

「いえいえ、閉じ込められたのは一人ではないんですよ。探しに行った団員も一緒に閉じ込められているんです。でも、後で確認すると、二人の閉じ込められていた部屋はどこにもなかったという…。」

「「こ、こわ……!!」」

これには、いづみも心も
震え上がった。

丞は相変わらずの冷静さで
「二人が口裏を合わせただけだろ。」
と答えた。
左京もそれに同意した。

「………『まごころルーペ』は?」

「あ、これはそんなに怖くないですよ。小道具に紛れ込んでいた不思議なルーペを使うと、相手の本心が聞こえるようになるんです!」

「どっかのネコ型ロボットの道具みたいだな。」

「でも怖くない?私なんかどんなに真面目な話してても片隅にはゲームと万里さんの事考えてるし、それバレるんでしょ?」

「お前、リーダー補佐だろが!」

「てへぺろ!」

「でも、そんなものがあったら面白いですね。」

「………うん。」

「まさか、そんなものがあるわけがないだろう。」

声のトーンを控えめに、誉は言った。

「誉さんは意外とリアリストなんですね。」

「そういう類の話は信じない性分なのだよ。特に『まごころルーペ』なんて、そんな都合のいいもの……。」

「夢があっていいと思いますけどね。」

万里は伸びをしながらソファーから立ち上がった。

「よっし!俺は風呂入るかなー?……心はどーすんの?」

「じゃあ部屋で待ってるね。」

「お前、いつになったら一緒に入ってくれんの?」

「………万里さんにはまごころルーペ必要ないよね。」

「お前にはいつも本音しか言わねぇよ。」

「もぉー!セッツァーもCocoも激マブやばたんでキュンキュンだけどジェラるからやめてー!」

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