朝になり、紬は枕の横に
昨日拾ったぬいぐるみがあることに気づいた。
抱きかかえ、ロフトベッドから降りると
すでに支度を終えた丞がいた。
「おはよう、丞。」
「………。」
無言のまま部屋から出ていく丞を見送り、紬は
大きなため息をついた。
「朝練にも行かなきゃ……。」
紬がレッスン場に着くと、不思議な事に
誉は昨日、紬に贈ったポエムを
新作だといい、謡い始めた。
「どうだね?」
「あ、ありがとうございます……。」
「昨日と同じだろ。」
そう言ったのは丞だった。
「失礼な!これは今朝の新作だよ。」
「新作??」
それに続く東の言葉も、密の行動も
昨日と何1つも変わらないことに気づいたのは
丞と紬だけのようだった。
紬がスマホを見ると、そこには
昨日と同じ日付が表示されていた。
「丞、見て。」
「なんだよ。」
「いいから、日付見て。」
「−−。お前まで−−みんなして、からかってるのか?」
「違うよ。」
「お前のスマホが壊れてるだけだろ。俺のはちゃんと−−。」
「……どう?」
「昨日の日付になってる。」
紬は平然を装って、いづみに今日の日付を聞いた。
「今日?12日でしょ?」
「13だろ?」
「12だよ。間違いない。」
東も12日だと伝え、どう考えても
全員がふざけているようには見えなかった。
「稽古は一旦休憩だ。おい、紬。」
「−−。」
2人は談話室に行き、事の整理をし始めた。
「丞、これってもしかして……。」
「言うな。そんなわけない。明らかに集団で俺たちを騙している。テレビをつけりゃわかるだろ。」
ニュース番組のアナウンサーは
「12日土曜日朝のニュースです。」と
間違いなく12日だと2人に教えるようだった。
「−−。」
「どっきりだとしたら、大分手が込んでるね…。」
「…俺は信じないぞ。」
「こんな不思議なことがあるんだね。」
「……。」
「とりあえず稽古戻ろうか。」
「……そうだな。」
prev next
back