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四葉さんとは、何の偶然なのか…
同じ学校、同じクラス、同じアイドリッシュ7のメンバーです
これが運命なら神だろうが仏だろうが全面戦争してやります。

休み時間、四葉さんは初めて手にしたスマートフォン(会社支給)が嬉しいようで
よくゲームをしています。
そんな意欲があるなら、次の仕事の資料にでも目を通せばいいのに…
今日の休み時間もゲームをするのかとみていると
横持ちではないスマホ。

まさか!次回共演するタレントの事でも調べてるのか!?
手の動きも、何やら調べている様子…!?
あのポケモンGOとやらではなければ…。

「四葉さん、何されてるんですか?」

「……い、いおりん…、これ…っ!」

ワナワナと手を震わせながら、画面を私に向ける四葉さん。
一体何を調べてるんですかね?

怖いものが苦手なら見なければいいものを…

はぁ、とため息をつきながら画面を見ると、そこには
大き目なYシャツをはだけさせながら着こなし、シーツの上に寝そべる女性。
ああ、これテウさんですね…ってことは奏さんじゃないですか…。

「………これがどうしたんですか?」

「いおりんつええぇ…、だってこれかななだろ!?やばくないか!?」

「やばいかやばくないかで言えばやばいです。」

「だろ!?」

「こんな大物タレントだった方が、まさかうちにいるなんて…。」

「そこじゃねーよ!」

「は?」

「この写真も!これも!これも!これも!全部えろい!」

「……エロいって、この写真撮っていらっしゃる時の奏さんは、私たちぐらいの年齢ですよ?」

「……おお、そうか……でもこんなやつ周りにいねーじゃん。」

「それは、テウがアイドルだからですよ。」

「じゃあ俺たちも?」

「……はい?」

「こんなのやるときくんの?」

「………くるでしょうね。」

「まーじか………。」

「でもなんでまた調べてるんですか?」

「………そーちゃんが好きだって言ってたから。」

「はい?」

「少しでもそーちゃんの事知りたい。……そしたら、そーちゃん怒らせずに済むかもしれねえ…って思って。それにかななの事も好きだから……死んだ母さんみたいに優しいから。」

「四葉さん……。」

「そしたらよ……知らねえかななばっかり出てくる…!助けて!いおりん!」

「ご自身で調べた結果でしょう!」

「ってかよお、こーゆーの好きなんだな、そーちゃんって…。」

「逢坂さんのテウが好きな理由は見た目以上に歌唱力とパフォーマンス力だと思いますが…。」

「ってことはよぉ…。」

「聞いてました?四葉さん?」

「そーちゃん、むっつりFSC?」

「FSC…?ああ…まぁ、はい、そうなんですかね?」

「そーちゃん………。」

「何自分で納得して落胆してるんですか。」

「大人ってよくわかんねえな…。」

「私には四葉さんがよくわかりません。そもそもその格好をしてる奏さんに関しては何も思わないんですか?」

「は?だってアイドルの仕事だからだろ?俺だったら嫌なことはやんねーって言うけど、かななとかプロ根性やばそう。」

「そのやばそうなプロ根性を見習ってくださいよ。」

「見習ったって!見習ったから!またあのDVDでダンス覚えた…見てていおりん、よいっしょ……。」

「他人の曲覚える前に自分の持ち歌、完璧にしてくださいよ…。」

私の言葉を無視して、四葉さんはスマホの音量を一番大きくして
テウのElectを流しながら、力強いステップを踏んだ。

♪〜

その身体の電圧を上げて

鳴らす奇跡のまま求めてよ
繋ぐ思考の中痺れていく
落ちる心のまま響かせて
凍りついた体内が
甘い電流で痺れた

♪〜

いつの間にか女子生徒が四葉さんの周りを囲っていた。
でしょうね。

サビに入る前にしたダブルピースで
本当に甘い電流が流れたのか
女子数名が瀕死状態ですね。

………ですがこれ、使えますね。
四葉さんをアイドリッシュ7の色気担当にするっていうのも
ありかもしれません。


♪…キーンコーンカーンコーン

あ、チャイムなりましたね。

先生来ましたね…あ、四葉さんスマホ没収されますねこれ

されましたね……。

仕方ありませんね、仕事でどうしてもその場でダンスを配信しなければならなかったということで……フォローしてあげましょう。

*1*4*


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