01 どうも、二階堂大和です。
自己紹介苦手なんで、これでいい?
ちょいと早く目が覚めました。
いえ、本当に。
別に高校生2人の弁当作ってやろうとか
そんなんじゃねえよ?
……奏が最近忙しそうで寝不足だって言ってたんで
こっそり目覚まし切ってきた
ま、いいじゃない。
たまにはお兄さんに任せなって。
ウインナー焼くか…ただ焼いても面白くねえな……
うさぎさん…タコさん以外にもウインナーってあるんだな。
よし、やるか……
あ、野菜どーすんだよ……
イチは大丈夫だろうが、タマがな…
そういえば奏が
細かく刻んでしまえばタマは食べるって言ってたっけな?
あいつ…タマの母親かよ……。
細かく刻んでタマが食べてくれそうなのって……なんだ?
あぁ、オムライスとか?
ケチャップで王様プリンの絵描いてやるか
……あいつガキかよ…。
緑少ねぇな!レタス詰めとくか…
あ、レンチンの唐揚げ見っけ。
ブロッコリーも……あーここらへん刺しとけばいっか。
……そういえば、タマが
「かななの赤ちゃんトマトうめえんだよ!ヤマさん!」
って言ってたっけ?
赤ちゃんトマトってなんだ!?
「……おはようございます…ごめんなさい、なんか知らないけど目覚まし止まってて……寝坊しちゃいました……。」
なんで起きてくるんだよー!寝てろよ奏ー!!!
でもナイスタイミングー!!!
「はよ、奏。弁当なら俺作ってるから大丈夫だぞ。」
「大和さん…すみません、ありがとうございます。あ、野菜…っ!壮五からの指示で絶対入れろって言われてるんですけど…。」
「オムライスに刻んで刻んで、ピーマンと人参と玉ねぎ入れたけど大丈夫か?」
「…!大丈夫ですっ!ブロッコリーも…!わぁああ!大和さんすごいです!うさぎさんもいるんですね!」
「ああ、……でよぉ、奏。赤ちゃんトマトってなんだ?」
「赤ちゃんトマト?…あぁ、環くんの好きなやつですね!簡単ですよ!プチトマトをくし切りにしてマヨネーズとチーズを乗っけて、トースターで焼くだけです!」
「それが赤ちゃんトマト…?」
「環くん、プチトマトのことを赤ちゃんトマトって呼ぶんです!可愛いですよね!」
「……なるほどな、タマが奏になついてるのだんだんわかってきたわ。」
「ん????あ、大和さん!せっかくだから人参のグラッセ作りましょ!うさぎさんいますし!」
「でも、タマが…。」
「大丈夫ですよ!……こうして、レンジで簡単に作れちゃうんです。」
奏は慣れた手つきで人参を小さな人参の形になるように面を取っていった。
「削った人参はもったいないので、私があとで食べますねー。で、耐熱容器にー…。」
説明しながら作ってくれてるだろうけど、俺の耳にはそれは入ってこなかった。
あぁー…、いい奥さんになるんだろうな。
男だらけのこんな寮で、本当に唯一の花だな……
「で、人参の上につまようじで穴あけて…パセリ刺したら!ほら!ちっちゃい人参です!」
「奏はいいお母さんになるよ。」
「へ?」
「んー!ソウとの子どもはいつ見せてくれんの!?」
「や、やややっややや大和さんっ!?」
「あっはははは!できたな弁当。」
「…はい、大和さんのおかげです!ありがとうございました!……でもなんで目覚まし止まってたんだろ…?」
「頑張ってる奏に、神様からのご褒美じゃねーの?」
「………ふふっ、大和さん、ありがとうございます!」
「俺じゃねえって。」
本当に……よくできた女だな。
*2*
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