01


「至さーん。ゲームしましょー!」

「ん?いいよ?」

いつも通り、談話室でスマホゲームをし始める2人、
心は天馬に頼まれて、2人でコンビニまで買い物に出かけていた。

「うちの妹、他の男と出かけてるけど…お前大丈夫なの?」

「んあ?天馬だろ?別に気にしねぇよ。束縛も過ぎるのはダメだし、あいつはそういうの向かねぇから。」

「ふーん。万里は束縛されたくない系?」

「いや、たまにやいてくれるのがいい……って何言わすんすか!」

「ふっ、お前可愛いとこあんのな。」

「うっぜぇー……。」

「「ただいまー。」」

そこに帰ってきたのは天馬と心だった。

「ふぃー……。心ありがとうな。」

「いいよぉー。まさか蛍光ペンだけのためにコンビニとか!ウケるー!」

「わ、笑うなよ!!!」

よいっしょ、と言いながら
ソファーでゲームをしている至と万里の所に近づいた。

「ん、コーラとお茶ね。」

「おぉ、さすが我が妹……。」

「サンキュ。」

「もうちょい敬って。」

そう言いながら、心は万里を背もたれにして
「私もいれてー。」と言いアプリを立ち上げた。

キッチンでは臣が、朝ご飯の下ごしらえを進めており、ひと段落したようで
ゲームをしている3人。
ソファーに座って台本に目を通す天馬
お茶をすすりながらテレビを見る
左京、咲也、東に話しかけた。

「明日、4月23日なんだが……。心、何か食べたいものはないか?」

「え!?」

「そういえば…茅ヶ崎の誕生日か。」

「お祝いしないといけませんね!」

「24日は至の誕生日だし、たくさんパーティーができるね。ふふっ、楽しみ。」

「「あ……。」」

「ん?どーしたんっすか?至さん。心も。」

「いや……私たちの誕生日ってさ…1日違いじゃん?だから……。」

「……。」

あははと笑う心の顔には、少し影が見えたように感じた。

心は臣に
「なんでもおいしく食べますよ!いつも通りで!」と笑って
返事をした。

「さぁーて……。私、ほかるね。」

すっと談話室から出て行った心をみんなが見送ると
至はゆっくり口を開けた。

「……あんまり誕生日にいい思い出ないんだよ、あいつ。」

「どういうことだ?至さん。」

「……さっきも言った通り、俺と心って1日違いじゃん?だからさ……。」

――――
――――
――――

―心のお誕生日とお兄ちゃんのお誕生日のお祝い、一緒にしようね―

親も悪気があって言ったわけではない。
確かに、一般家庭のうちでは
2日続けて大きなお祝い事なんて大変だ。

だからいつも24日…
俺の誕生日の日に、心の誕生日もまとめられていた。
それは心が大きくなっても変わらない。

『心ちゃん、お誕生日おめでとう!何歳になったのかな?』

『5さいっ!』

『おうちで、またお祝いするんだろうね!楽しみだね!』

『……でも、わたしのおたんじょうびはあしただから。』

『え?』

俺が心を、幼稚園に迎えに行ったときに聞いた
保育士さんと心の会話は
今でも耳に残ってる。

あいつは生まれてずっと、俺の誕生日の『おまけ』にされてるように
感じているんじゃないかって。

もし心が25日に生まれていれば…逆に俺が
心の誕生日の『おまけ』になっていたのだろうか?

そう思うと、少し寂しく感じた。

この年になって、祝われるってだけでも
すこしくすぐったく嬉しく感じることなのに

あいつは……。

4月23日に

本当の誕生日に

祝われた記憶が

ないんだ。

「心、ケーキ買いにいこ。」

「え?」

その年、俺は何ができるか考えて
誕生日のケーキは心に選ばせてやりたいと
親に懇願した。

ケーキが2つになることも
連日お祝いができるわけではないことも
察した俺の精一杯だった。

心は少し、申し訳なさそうに
キラキラと輝く、たくさんのフルーツの乗った
ショートケーキを選んだ。
誕生日プレートには
俺と心の名前が連名

一人1枚なんてことはない。
あのプレート1つでも300円するんだから!と親に笑われた。

今後、23日に誕生日会をしようと親に話すが
何年もしてきた行事はなかなか直らなかった。

「心、今年は23日に……。」

「……いいのいいの!24日で!なんか3より4の方が可愛いし!それに……私も慣れたから……。」

なぁ、心……。

お前が生まれた時、俺まだ小学生でさ……。

自分の誕生日の前日に母親が出産のために入院して
俺の誕生日祝いできなかった時の寂しさ知ってんだよ。

でも、俺には最高の日だったんだって
生まれたばかりの心見たら
何もかも許せるくらいの幸せに包まれたんだよ……。

心が生まれてきたことが、最高のプレゼントだったんだって。

だから俺もさ、お前の誕生日大切にしたいんだよ。

――――
――――
――――

「誕生日へのトラウマが、まだ残ってんだよ、あいつ。」

「……なるほどな……。」

「……なぁ、臣。ちょっと教えてくんね?」

「ん?どうしたんだ万里?」

「いーから、いーから!」

万里はソファーから立ち上がり
キッチンに向かって歩いた。






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