OMAKE −103号室−
「…ッチ、外した…クソが……。」
カチャカチャとキーボードを押す音と、マウスクリックをする音が響いていた。
「……ん?いきなり視界が暗い……。あ。」
至が額を触ると、いつも結んでいるヘアゴムがプツンと切れて、前髪が落ちてきたようだった。
「……はぁー…。まぁ、オンラインじゃなかったし、中断してもいいか。予備のゴムー……?あれ?」
あちらこちらに散乱しているゲームや洋服を掻き分けて、ストックのヘアゴムを探すも、見当たらないようだった。
「…おかしい。絶対ここにあった……。まあいいや。心に分けてもらおう。」
106号室前、浴室横にある心の部屋のドアをトントンと叩くも返事はなかった。
「おかしいな。今日はどこも行けないって言ってたのに…。まぁいいや、勝手に拝借するか……ちゃーす…。」
ガチャっと部屋のドアを開けて、心のアクセサリー棚まで行くと、ベッドのふくらみに気づいたようだっだ。
「相変わらずのディスプレイだな…雑貨屋かよ……ん?なんだ、寝てるのか……。」
スースーと寝息のするベッドを見て、「顔でも見ていくか…。」と至は
覗き込んだ。
「おーおー寝てる寝て……は!?」
「スー…スピー……。」
「んー……ったるさぁん…そこ罠あるっすよ………。」
「……なんで万里まで寝てんの……?」
気持ちよさそうに寝ている2人を、そっと起こさないように
至は部屋を出た。
「……クソ……何か知らんがお花のついたヘアゴムしか見当たらなかった…どこにあるんだよ…あの綺麗な部屋のどこに…っ…クッ…!」
夕飯時になり、全員がキッチンに集まった。
「至くん、可愛いヘアゴムしてるね!そのお花は…マーガレットだね!」
「紬さん……あ、いや、俺のじゃないんですよ。心の勝手に拝借して…。」
「なるほどな。茅ヶ崎にしては面白い趣味だと思った。」
「丞さんもひどいな……。」
「…ゲ、今日のハンバーグの付け合わせに人参……。」
「どうしたのだね天馬くん?どれ、私が人参を頂こう。」
「誉さん…助かる……。」
「だめだ!皇!1つは食え!」
「ッチ…左京さんにばれたか……。」
「…あれ?そう言えば、万里さんと心さんはまだですか??」
椋が、まだテーブルについていない2人に気づいた頃、
談話室のドアがガチャっと開いた。
「「…おはよ………。」」
「はは、2人とも寝てたのか?おはよう!」
臣は笑いながら、2人分のスープを用意した。
「ふふっ、おはようにしては随分遅い時間だね。」
東が笑うと、2人も、ははは…と笑い返した。
「……ちょ!?お兄なんで私のヘアゴム付けてんの!?」
「ん?似合う?至ちゃん可愛い??」
「可愛…じゃない!!!」
「お前寝てる間に拝借した。いきなり使ってたゴム切れたから。」
「一言言ってくれれば……。」
「んー?だってお前、万里といちゃこらしながら寝てたから……。」
「「「「「「「「「は?!」」」」」」」」」」」
「おい、摂津どういうことだ?」
「ちょ!違うんっすよ!左京さん!!!!」
「あの!私が具合悪くて!!!そんで!万里さんが色々とお世話してくれて!!!!」
「えぇー!?心チャン、具合悪いッスか!?」
「も、もう大丈夫なんだけどぉ!!」
「あ、ついでに万里の寝言もゲットした『ったるさぁん、そこ罠あるっすよ』って…!ワロ。」
「えぇー!?何々!?セッツァー寝言!?」
「夢の中でもインチキエリートとゲームしてんの?しょうもな……。」
「万里さんかっこいいです……まるでお姫様を大切にする王子様のようで……。」
「「ぶっ!!!!!!!!」」
吹きだした万里と心に、いづみは「大丈夫!?」といいながら
ティッシュを渡した。
「大丈夫か大丈夫じゃないかで言うと、だいじょばない。」
「王子様とか、万里さん!!!言ったことまんますぎてウケる…!!!」
「摂津が王子?そりゃあ笑うな。」
「うっせぇ!テメェは黙ってろ兵頭!!!」
「仲がいいのは微笑ましいが…茅ヶ崎妹の部屋の前…俺の部屋だって忘れるなよ?摂津。」
「……ッス。」
「それじゃあ、みんな揃ったな?飯食うぞー。」
臣の号令と主に、みんな
「いただきます。」と言い
にぎやかな夕食が今日も始まった。
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