01


『やめてっ……!』

『おらぁ!…おい茅ヶ崎!立てよ!』

『お前地味なんだよ……っ!』

『気持ちわりぃ…お前、オタク何だろ!?』

ドスドスと鈍い音が私の体に響く。

体育館裏…

後ろは山
少しじめっとした暗く、人通りの少ない場所…。

学年でも割と派手めな男子5人、女子5人
仲良しでよく一緒にいる10人の都合のいいおもちゃになったのは、私だった。

蹴られては、冷たい水をかけられて
ただ、蹲ることしかできなかった。

『全然可愛くないのに、ふざけんな!このアマ!』

『陰気臭いんだよ、クソオタクが!きっも!ブス!』

容赦ない言葉の暴力は、私の心身をずたずたにした。

オタクだから何……?
私はただ、ゲームが好きで、アニメが好きで…
好きなことを好きと言ってはダメなの…?

−−−−
−−−−
−−−−

ピピピピ……
ピピピピ………

「……っ!はっ……!」

額の寝汗を拭いながら、肩で大きな息をし、心はスマホのアラームを止めた。

「……嫌な夢……また見ちゃったな……。」

洗面台で顔を洗い、ふと自分の顔を見て
ため息を1つ落とした。

(不細工なんて……そんな事自分が一番知ってるよ……。)

大きなメイク箱を開けて、学校用のメイクを施す心に「おはよう」と声をかけたのは東だった。

「毎日丁寧だね。関心するよ。」

「ありがとうございます。」

「でも、学校はお化粧大丈夫なの…?」

「……素顔を見せるのは、ここの人たちだけでいいんです……。」

「え?」

「……ほら、私……不細工だから……。」

「そんなことないよ。心は綺麗だよ。」

「東さんに言われると嬉しいけど、本当に私……可愛くないから……。」

小さな声で、自信ないんです…。と呟いた心は
「先に、談話室行きますね!」と笑顔を見せて東に伝えた。

「……心??」

そこに、大きなあくびをしながら洗面所に来たのは
万里と十座だった。

「ふあぁぁー……、くっそ兵頭のせいで睡眠不足じゃねぇかよ!」

「あぁ?遅くまでゲームしてっからだろ。」

「はぁ!?テメェのいびきがうっせぇんだよ!!!」

「おや、2人ともおはよう。」

「おざっす。」

「東さん、はよー。」

「……そうだ……。ねぇ万里、ちょっといい?」

「んぁ?俺でいいなら。」

「心の事なんだけどね?……昔何かあったの?」

「心の事で昔…?………なんかあったんすか?」

「…今朝、少し顔色が悪そうだったんだよね。自分は可愛くないから…って言ってて。」

「………あの事か。」

「摂津、あの事ってなんだ……?」

「あいつ、中学の頃にいじめに合ってたんっすよ。オタクってことがばれて、いじめの標的にされてたって。それまでは普通に話してた友だちとかもどんどん距離置かれたって。……そもそもあいつ、サバサバしてるっしょ?同性の友達作るのも苦手で、男子とばっかり遊んでたんだとよ。それが女子からみたら面白くなかったみたいっすよ。」

「なるほど……。」

「それは、つらかったな、茅ヶ崎も……。」

「まぁ、不細工って言われた事もあったみたいで?どうせひがみだろうけどな。どう見ても心は美人だろ?ひいき目なしでも。あれが不細工なら世界の大多数が不細工かゾンビだろ。」

「「確かに……。」」

「でもあいつ根がまじめだから、変なところでもそれ発揮しちゃって、今だに自分に自信がないんだって言ってた。化粧を辞めないのもそれが理由。……すっぴんは、自分が本当に心許した人じゃないとだめなんだってさ。」

「……ってことは、ボクたちは少しでも信頼してもらえてるって事かな……?」

「そうっすね。心はこのカンパニーの奴らには心開いてるっすよ。」

「だが、なんでまたそれを今になって茅ヶ崎は言い始めたんだ???」

「………なんかあったんだろうな。」



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