「はい、また機会があればよろしくお願いします〜!…はい、失礼致します〜!」
内容は依頼のキャンセルだった。居酒屋で急に人手が足りなくなったので手伝って欲しいとのことだったが、休む予定だった店の子に来てもらえるようになったから、とのことだった。
「キャンセルかあ〜…結構痛いな…」
便利屋一本でやっている以上、たった1件でも依頼がキャンセルになるのは惜しい。これは明日の休日を返上して日雇いバイトでもするしかないか。
私がそう考えていると、また1本電話がかかってきた。またキャンセルか?と、恐る恐るスマホ画面を見てみると、この前名刺をもらって登録したばかりの杉浦くんの番号からだった。
「もしもし、苗字です」
「あ!名前さん?
「うん!一昨日ぶり〜。どうしたの?」
「実は、お願いがあって…!」
「お願い?」と私が聞くと、電話では話しづらいから事務所に来て欲しいと言われた。どのみち今日は予定がなくなってしまったので、私は了承して横浜九十九課へ向かうことにした。
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杉浦くんの事務所に着くと、見たことがない男性が2名居た。事務所の人だろうか?
「名前さん、いらっしゃい!こっち来て!」
うきうきした様子で杉浦くんは私を呼ぶ。そして、そのまま私の紹介を始めた。
「こちら苗字名前さん!ゴロツキ相手の喧嘩にも勝っちゃう、異人町で凄腕の便利屋さんだよ!」
それを受けて、体格の良い男性が話しかけてきた。
「へえ〜!そいつぁ凄い!私は、
そこへもう一人の男性が割り入ってくる。
「ちょっと海藤さん!いきなりそれかよ…。うちの者がすみません、八神探偵事務所の
「…いえいえ、大丈夫です!苗字名前です、初めまして」
この人たちが、前に杉浦くんの言ってた人か。探偵っていうのはイケメンが多いのか?
「苗字氏!ささ、どうぞお座りくだされ」
「それで…杉浦くん、電話で言ってたお願いってなんのこと?」
「あ〜、それね!…う〜ん、どこから説明したらいいかな、八神さん」
「う〜ん、いっそのことはじめから話した方が良いかもな」
「え、そんなに込み入った内容なんですか?」
「ああ、まずは俺らがなんでこの街に来たかなんだけど…」
そう言って、八神さんは神室町で起きた殺人事件について説明をしてくれた。
「なるほど…そんな事件があったんですね…。それで、その事件が私とどう関わって来るんですか?」
今のところ、事件の内容で私の見知った名前は出てこなかった。
私がそう聞くと、「それがね…」と言って杉浦くんは今回の経緯を話し始めた。