騒動はあったものの無事に解決し、私たちは浜北公園にようやくたどり着くことができた。
横浜一有名なこの公園は、この時期になると絶好のお花見スポットになる。私は
「良いもんだね、こうやって歩きながらお花見するのも。ずっと街の方で仕事してたからこういうの久々だよ」
「私も!なんか、春だな〜って感じ」
周りには、同じように花見をしながら歩いている夫婦やカップルがいた。
私は先ほどの事件のあることを思い出し、杉浦くんに話しかけた。
「そういえば、パルクールやってるんだったよね?実際に見てみるとすごいね!」
「ああ!一緒に追いかけてくれたもんね。見ててくれたんだ!」
「うん!どんな障害もぴょんぴょん飛び越えていくから、目で追うのが大変だったよ。にしてもカッコよかったなあ〜」
とてもスタイリッシュだった姿を思い出し、思わず本音が出てしまう。
「名前さんにそう言われるとうれしいな」
杉浦くんはどこか照れたような笑顔だ。
「そういえば、何日か前にゴロツキ達を倒してたやつ、僕がついた頃には結構な人数倒れてたけど、あれどうやったの?」
杉浦くんは、わくわくした表情で問いかけてきた。
「え?どうって…殴ったり蹴ったり、組み技使って関節外したり…?」
「すごいね!前に言ってたブラジリアン柔術ってやつ?」
「いや、今となってはもう自己流かな。試合では殴る蹴るはルール違反だし、もはや総合格闘技のほうが近いかも…」
私は苦笑いしながら答えた。
「へえ〜!すっごいなあ〜!!強い女性って素敵だよね」
「そうかな?」
「うんうん!名前さんは根性あるし、芯がしっかりしてるっていうか。友達思いだし!」
いつの間にか対象が私にすり替わっていることに疑問を抱きつつも、褒められたことは嬉しかったので、ありがとうとお礼を言った。続いて私は思ったことを口にする。
「でも、杉浦くんも素敵だよ。探偵やってるとはいえ、見ず知らずの人のために全力で手助けしてるじゃない?さっきもそうだし、優子の猫探しの時だってすぐに助けてくれてさ。なんか王子様みたいだよね!」
私がそう言うと、杉浦くんは固まった。え、滑ったかな。私は話題を変えようと、咄嗟に思いついたことを言う。
「そ、そういえば、こうやって二人で歩いてるけどさ、杉浦くんは好きな人とかいないの?」
「…いるよ」
「え…。なら、私とこんなことしてちゃダメじゃん!」
私としたことが失態だ。こういうのは出かける前に確認しておかなければいけなかったじゃないか。
「名前さん、本当に気付いてないの?」
「何が?」
私が問いかけると杉浦くんは少し緊張した面持ちになり、こう言った。
「僕が…名前さんを、好きってこと」