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普段穏やかな親友の不安と焦りが入り混じった声に、私も動揺せずにはいられなかった。
白猫のフユちゃんは臆病だが慣れると人なつっこく、優子の家に行った際はよく撫でさせてもらっていた。飼い主に似て温厚な猫だったため、逃げ出したと聞いて驚いた。
私はすぐに優子と合流し、フユちゃんを探し始めた。

しかし、どこを探してもいない。白猫だから目立つし、すぐに見つかるのではと高を括っていたが、それは間違いだった。優子たちの家は異人町からそう遠くない。周辺を1時間近く探しても見つからないため、優子とは別行動を取ることにした。

そんなこんなで、通行人に猫を見ていないか尋ねながら探していると、あっという間に2時間くらいが経過していた。
もうだめかとも考えたが、前方を歩いている若そうな金髪の男性に目が止まり、声をかけてみることにした。

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今、隣を歩いている男は杉浦文也という名前らしい。本当の苗字は寺澤だが、仕事仲間にはそれで通ってるからとの理由で、杉浦くんと呼ぶことになった。
くん付けで呼んだとき、彼は少し不思議そうにしていたため、自身が32歳であることを告げた。
「同い年くらいだと思ってた…」と驚いた顔を見た時は結構、気分が良かった。

話の流れで親友の猫探しを依頼することになったが、不謹慎な話、私の内心はそれどころではない。こちらへ振り返った瞬間から思ってはいたがこの男、顔がいい。
キリッとした眉毛に優しい感じの目、スッと通った鼻筋に整った輪郭、甘いマスクとはまさにこのことか。ここまで言えば大多数の人は察しがつくだろう。そう、私は面食いである。
物心ついたときからイケメンが好きで、思春期の頃は当時有名だったアイドルグループの雑誌やグッズを買い漁ったりしていた。現在は金銭面もあって、そういったことはしなくなったが、俳優に転身した推しの出演番組を見て心の均衡を保っていた。イケメンは心のオアシスなのである。

「ちょっと〜、話聞いてる?」

ふと我に帰ると、怪訝そうにこっちを見る杉浦くんがいた。

「あ、ご、ごめん!ちょっと考え事してた!」

「考え事?」

「いや、気にしないで!で…どんな話だったっけ?」

「も〜、うちの所長の九十九つくもくんに協力してもらって、ドローンでフユちゃんを探そうって話!」

「あ〜!そうだったね!ハハハ…」
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