おれ達だって独占してもいいだろう?













「……っと、今回はまぁ揃ってる方か?……じゃあ、定例会議始めるよい。」










眼鏡を掛けて資料を手に会議を進めて行くマルコさんの隣で私は議事録を取る為にペンを持ちメモを取っていく。


順調に会議は進んで行き、最後の資料を捲れば2番隊の報告書だった。









「……最後は2番隊だが、…………」









マルコさんが黙ってしまった。私はどうしたのだろうと、顔を上げてマルコさんの方を見れば徐々に顔が怖くなってしまっている。……マルコさんが何故か怒ってる……!


マルコさんの目線の先を追っていけば……、あぁ。成程、と私はマルコさんが怒ってしまった理由が分かりそっとペンをテーブルの上へと置いた。多分、定例会議はマルコさんが雷を落として終わりだろう……。











「…………おい、エース。いつまで寝てやがんだい……。会議初っ端からテメェは寝やがってよい!こっちは真面目に会議してるってのに……!!!って、サッチもハルタも一緒に寝てんじゃねぇよい……ッ!!」












手に持っていた書類をぐしゃっと握りぐっすりと眠ってしまっているサッチさんにエースとハルちゃんに近付き順番に拳骨を落としていくマルコさん。……サッチさんなんてイビキをかいちゃってたから落とされた拳骨は2人よりも強めだったと思う。


そして、拳骨を落とされた3人は揃って頭を手で押さえている姿に可哀想だけど笑ってしまった。


イゾウさんもクスクスと笑っている。









「まぁ、マルコ。昼飯を食ってから会議をしちまってるのも悪いんじゃないかい?」

「……だからって会議始まって直ぐにコイツ等寝てんだよい?普通寝るかよい?」

「寝ちまうんだから仕方ねぇだろう?正直、この時間からの会議はおれでも少し眠てぇくれぇだ」

「…………、」









はぁ……、っと深いため息を吐き呆れてしまったマルコさんは書類をテーブルの上に投げ出しこめかみを押さえていた。


そんなマルコさんを見ていれば、フワッと紅茶のいい匂いがし目の前に可愛いカップが置かれた。









「お疲れ様、なまえ。」

「わぁ!ありがとうございます、ビスタさん!」











カップを手に持ちふぅっ、と息を吹きかけ口に含めばビスタさんの入れてくれた紅茶は今日もとても美味しくて気分がホッとする。……ビスタさんの入れてくれる紅茶が一番好きだなぁ……。


定例会議の後には必ず紅茶を入れてくれて、これがすごく楽しみで今日も書記を頑張れたんだ。




あと、もう1つの楽しみも……!









「なまえ、」

「ジョズさん!……わぁ!すごく可愛いメレンゲクッキーじゃないですか……!」









これまた可愛いお皿に乗せられた色とりどりのメレンゲクッキーが並んでいる。


ジョズさんからは可愛過ぎるビスタさんの紅茶に合うお菓子を持ってきてくれるんですよ……!




復活したマルコさんのお説教している声と正座させられてごめんなさい、と謝っているサッチさん達の声にそんな4人を眺めて笑っているイゾウさんの声を聞きながら私はメレンゲクッキーを口に運び、紅茶を飲みながら今回の定例会議のメモをまとめていく。










「本当になまえは頑張り屋さんだなァ」

「……少し、ゆっくりしたらどうだ?」

「ふふっ!これだけ先にやって置かないと大事な会議の内容を見落としちゃ書記をさせてもらった意味もありませんから、」









そう言って、一通り自分の取ったメモに目を通し抜けてしまった所が無いか確認をする。……良かった、大丈夫みたい。


私はテーブルの上を片付けてまた可愛いメレンゲクッキーを食べながら紅茶を飲み、ビスタさんとジョズさんとゆっくり会話を楽しむ。




すると、マルコさんの座っていた私の隣の席が動きそこへ腰を下ろしたのはケラケラとマルコさん達を笑っているラクヨウさん。










「相変わらず、またアイツ等やってんだなァ!」

「遅かったじゃないか、ラクヨウ。もう定例会議は終わってしまったぞ?」

「それを狙って今来たんだよ。定例会議なんざ、眠くなるだけだしよォ……。おれだってマルコの拳骨食らいたくねぇし」

「……まァ、確かにな」

「後でなまえの書いた議事録が各隊に配布されんだからそれ読んでたらいいしよォ。……っと、忘れてたぜ」









ゴソゴソとラクヨウさんはポケットを漁り、何かを取り出しそれを私の髪へと留めてくれた。









「可愛い妹のなまえに似合うと思ってよォ……、やっぱり綺麗な黒髪に赤が似合うなァ」

「……ラクヨウにしてはセンスがいいな、本当に良く似合ってる」

「この前の戦利品でルビーがあってよォ、少し小さめだったから髪留めにすりゃあいいだろうと思って作ったものの、なまえにやろうと思っててすっかり忘れちまってたぜ」











ガハハ!っとラクヨウさんは笑って私の頭を撫でてくれた。たまにラクヨウさんはこうして私に可愛いヘアアクセサリーを作ってくれるのだ。


手先が器用だし、この前もお気に入りのヘアピンの装飾が外れてしまってしょぼん、としていたら直ぐに直してくれた上にもっと素敵にアレンジもしてくれるんですよ!





本当に素敵なお兄ちゃん達に囲まれて幸せだなぁ……!











「あっ!!ラクヨウ達がなまえの事独占してるよマルコ!」

「あぁ?話逸らしてんじゃねぇよい、ハルタ。…………っと、テメェラクヨウ、お前はこっちに来いよい。定例会議サボりやがって終わってから来るってどういう事だい!」

「来たら丁度終わってたんだって、んなに怒んなよ。怖いなァ、ウチのお兄様はよォ。なまえもマルコの顔が怖いって怯えてるぜ?可愛い妹を怖がらせるなんてダメなお兄様だよなァ?」

「テメェ等が怒らせてんだろい!!!それに怯えてんならそんなのほほんと菓子食ってねぇだろい!」









ビシィっと私を指差し怒るマルコさん。まぁ、確かに怯えてたら食べる手も止まっているでしょう。


ただ、ジョズさんから貰ったメレンゲクッキーが美味しくて私の手が止まりません……!!











「まァ、いつもお前等がなまえの事独占してんだからたまにはおれ等にも譲ってくれていいだろ?」









そう言って、ラクヨウさんはまた私の頭を撫でて笑う。ビスタさんもジョズさんも頷いてお代わりの紅茶を入れてくれたりまた違う可愛いクッキーをお皿に乗せてくれたり……!




月に数回の定例会議が終わったこの時間が私はすごく好き。私は食べるのが勿体無いくらい可愛いうさぎ型のクッキーをモグモグと食べ美味しい紅茶に夢中になっていた。











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