マルコさん達が小さくなってから毎日がもっと楽しくて幸せで……、すごく心が暖かく穏やかだ。
…………でもね、毎回思うのだけど食事の時って本当に大変だ。アンジェリカさん達にも手伝ってもらって1人1人着いて食べさせてあげないと食べこぼしで服が大変な事になってしまう。
最初はね、自分で食べれる!って言ってたから見守っていたんだけれどエースとマルコさんとハルちゃんは食べ方が豪快でかき込んでご飯を食べちゃうから詰まらせちゃわないかってヒヤヒヤしちゃうし食べこぼしも多くって服がドロドロになってしまってその後の着替えや対応が大変で……。
イゾウさんとサッチさんはゆっくりと食べてくれて3人よりも手が掛からないけれどやっぱり大人用の食器は使うのが難しいらしくって上手く食べれなくって泣きそうになってしまうから手伝ってあげればニコって笑ってくれるのが本当に可愛い。
それにしてもよく、先輩が自分がゆっくりとご飯を食べる時間が無いって話していたのが今すごく分かった。
「…………やっと、落ち着いたな」
「…………本当ですね」
お昼ご飯も無事に終わり甲板で走り回って遊んでいたマルコさん達はすっかり疲れて私やロシー君の膝を枕に眠ってしまって私達は起こさないように小声で話す。
「……子どもって元気だよなァ……」
「……そうですね、」
ロシー君はコアラのようにくっ付いて眠っているマルコさんの頭を撫でながら優しく笑っている。
……何だかロシー君っていいパパになりそう。私もつられて笑ってしまう。すると、ムクっと体を起こして目を擦るエース。
「…………かぁちゃん?」
「…………あら、起きちゃった?」
「……かぁちゃん、」
私の膝で眠っていたエースは私の方へと両手を伸ばしてくる。大人の時も可愛いけれど小さくなってからも甘えん坊ですごく可愛くて、私はロシー君がマルコさんを抱っこしているように抱き上げて抱き締めれば安心したようにまた眠ってしまった。
「…………何か、本当に親子みてェだ」
「…………それを言うならロシー君も」
「…………なまえっていいママになりそうだな」
「……ふふっ、」
「……何で笑うんだよ、」
「……私もロシー君と同じ事考えてたから、」
お互い一緒の事を考えていて何だか嬉しくて笑ってごめんね、って言えばそうかよ、って言って隣に座るロシー君の方へと体を寄せれば少し顔を赤くさせてそっぽを向いてしまった。
「……いつか結婚して子どもが出来たらこんな感じなんですかね」
「……え、」
「…………何だか予行練習みたい、」
私の膝を枕に眠っているサッチさんの頭を撫でてそんな事をしみじみ思う。
自分がお母さんになるってこんな感じなのかな。かぁちゃんって呼ばれるのもいいけど、ママって呼ばれるのもいいなぁ……。
…………まぁ、その前に相手を見つけなくちゃいけないんだけど。
「……あぁ、そうでした。ロシー君今日のオヤツ何にしましょうかね?」
「…………、結婚……、子ども……、…………」
「……ロシー君?」
「…………予行練習って事は……、本番があるって事か…………?」
何やら考え事しちゃってるみたいだ。オヤツの相談したかったんだけど……、これだけ考え込んじゃってるからオヤツの相談はまたにしよう。
……私も少し眠くなってきたしロシー君に凭れたまま眠らせてもらおう。
日差しも暖かくて抱っこしているエースも温かくて心地良くて仕方が無い。もう自然と瞼は落ちていく……。
それからどれくらい眠ってしまったのだろうか。ゆっくりと目を開ければ、隣に居るロシー君も眠っていてマルコさん達もまだ夢の中みたい。
…………、っとこんな穏やかな時に敵襲だなんて……。
パチリ、とロシー君も異変に気付いたみたいで目を開ける。
「……今日の敵襲の当番って4番隊だったか?」
「……そうですね……、今のこの時間は夕飯の仕込み時間ですし隊長のサッチさんは小さいから私しか動けませんね」
「……助太刀するぜ、なまえ」
「……よろしくお願いします、ロシー君」
抱っこしていたエースを床へと降ろせば、他の子達も起きてしまい、どんどんと大きくなっていく家族以外の声に不安そうな顔をしてしまっているマルコさん達の頭を撫でて私とロシー君は立ち上がる。
「……か、かぁちゃん……!」
「……大丈夫、直ぐに帰ってきますから。…………っと、相手の方達言葉遣いが乱暴ですね……。……可愛いこの子達が真似したらどうするんですか、」
「まぁまぁ、んなに怒んなってなまえ。おれ先に行って音消してくっからさ」
ロシー君は私の頭にポンっと手を置いてそう言うと船の手摺りに足を掛けて降りて行けば直ぐに相手の声は消えた。
「……とぉちゃん、だいじょうぶよい……?」
「大丈夫、パパは強いんですから!私も行ってくるのでいい子で待っていてね、」
泣きそうになっているマルコさんの頭を撫でて私はモビーから降りた。
船に降りれば、ロシー君がもう既に大半倒してくれていて私はとりあえずロシー君の背後に迫っている男の人の剣を受け止める為、刀を手に出現させ弾き返す。
「…………あらら、力加減間違えちゃった……?」
「……流石なまえだな、」
勢いが良過ぎて吹き飛んじゃって思わず苦笑いしてしまう。オヤジさんに挑むくらいだからもう少し手応えのある敵さんだと思ったんだけれど……。
…………でも、お昼寝の時間に襲撃して来て可愛い子達を怖がらせたんだ。ちょっとばかし、痛い目にあってもらいましょうかね!
刀を消して私はロシー君に背中を預けて残った敵さん達に向かって行く。
***
3時のオヤツに焼きたてのマドレーヌとオレンジジュースを持って甲板に出れば小さくなってしまった隊長達が手摺りから身を乗り出しているのを見付けてしまいおれは焦って持っていたお盆を落としそうになってしまったけど、そんなおれの代わりにアンジェリカさん達が今にも落っこちそうな隊長達を捕まえてくれたっス……!!
「もう!危ないじゃないですか!」
「もう……、海に落ちたらどうするの?」
「って、あら……?なまえ君とロシナンテはどうしたのかしら?」
……そう言えば、なまえさんとロシナンテさんの姿が見えない。おれはテーブルの上にお盆を置いて隊長達に近付いていく。
「かぁちゃんととぉちゃんあっちにいるよ!」
「……すごく、かっこいいよい……!」
興奮気味に海の方へと指を指して教えてくれておれはハルタ隊長とマルコ隊長を抱っこして海の方へと目を向ければ、見知らぬ船の甲板で戦っているなまえさんとロシナンテさんを見つけた。
音が全く聞こえないのはロシナンテさんの能力なんだろう。
…………何か、ずっと前から一緒に戦っているみたいに2人のコンビネーションは抜群に良くて楽しそうにあっという間に敵を倒してしまった。
……ロシナンテさんドジばっかりだと思っていたけどすげェ強いんスね……!
キラキラとした目でずっと見ていた隊長達に気が付いた2人はニッコリと笑ってこっちに手を振ると直ぐにモビーへと飛んで戻って来た。
「お帰りなさい、怪我は無い?」
「ただいま戻りました!私もロシー君も無傷です!」
「そう、良かったわ。……オヤツを届けに甲板に来たら隊長達が身を乗り出して海を眺めてたから驚いちゃった」
「……お、おれたちちゃんといい子でまってた……!」
アンジェリカさんが困った顔をして言えば、イゾウ隊長はなまえさん達に手を伸ばして慌ててそう言った。
「まるも!ちゃんといいこでまってたよい!」
「みんなでがんばれー!ってかぁちゃんととぉちゃんおうえんしてた!」
怒られてしまうと、思ったのか焦ってそう言う隊長達……。…………すげェ可愛くないっスか……!?
なまえさんとロシナンテさんは顔を見合わせて笑うとおれ達から隊長達を抱き上げるとそのままぎゅーっと抱き締める。
「ちゃんと皆が応援してくれてた声は聞こえてましたよ」
「そのお陰でおれ達頑張れたんだ、ありがとな」
「いい子で待っててくれてありがとう、」
…………何だろう。幸せそうになまえさんとロシナンテさんが隊長達と接している姿を見ていれば微笑ましくて段々と本当の家族に見えてきて自然と口元が緩んでしまうっス……!
……アンジェリカさんは映像電伝虫を取り出して写真を撮ってる。後で写真焼き増ししてもらえるか頼もう。何か、なまえさん達の写真を持ってるだけでご利益があるって言うか、幸せになれるような気がするっス……!
それから数日後、無事に隊長達は元の姿に戻ったんスけど……。なまえさんやロシナンテさんにおれ達は残念がっていた。オヤジさんまで寂しそうにしていて早く孫の顔が見たい……、なんて呟いててアンジェリカさん達も姪や甥の顔が見たいとなまえさんとロシナンテさんに話してて2人は顔を真っ赤にさせていたけど、おれもそれにはオヤジさん達と同じ気持ちだ!
小さい時の記憶が無い隊長達は何の事だか分からなくて首を傾げてそんな2人を不思議そうに眺めてたんスよね!